「『この額』というルールはありませんが、過剰に渡すと、お金の価値がわからない子になってしまいます。一方、お小遣いをまったくあげないと、お金に対する免疫がつかなくなってしまいます。オススメは、『欲しいものより少し少なめの金額をあげる』ことです」と話すのは、ファイナンシャル・プランナーの柳澤美由紀さん。
お小遣いをあげるタイミングは、毎日、毎週、毎月などいずれもアリだが、「工夫すれば買える」ことを身につけさせるため、「足りなくなっても、前払いや追加はしない」と決めておくことが大切だそう。
「ネットなどで2000~3000円程度で売っている『手提げ金庫』を持たせるのも良いですよ。キレイに分けて入れられるので、金額がわかりやすく、大事にためようという気持ちが育ちます」
●お小遣いを通じて、子に生きていく力を身に付けさせる
気をつけたいのは、共働きで収入の多い家庭だ。
「幼い子に万札を渡してしまうような家庭もありますが、子ども自身が将来それだけの収入を得られるかわからないですよね。また、子どもがやりたい仕事と稼げるお金、生活レベルとがマッチしないこともあり、結果的に子ども自身がキツイ思いをすることになります」
親が子どもに教えなければいけないのは、「自分で生きていける力をつけさせること」だ。
「ちょっと飢えているくらいだと、本人がお金を稼ぐようになります。それと同時に、稼いだ範囲で暮らせる力も身に付けます。お小遣いは将来、限られたなかで工夫して暮らしていくための良い勉強なのです」
そのため、お小遣いアップのタイミングも、基本的には「本人が値上げ交渉をしたら」で十分だそう。
「なぜ欲しいのか、自分でプレゼンすることも大切。値上げ交渉も勉強になります。親が先回りしてお小遣いをアップしてあげる必要はないですよ」
●ご褒美でお小遣いをあげるのはアリ?
ちなみに、「新聞を取りに行く」「ゴミを捨てに行く」「お皿を洗う」など、労働でお金をもらえるようになっている家庭もあるが…。
「それは良い点・悪い点の両方があります。家族だから、家のことをするのは当たり前ですし。また、『100点をとったら』など、ご褒美でお金をあげるのは、いざというときに踏ん張りのきかない子になるリスクもあります」
お小遣いに関する考え方は人それぞれ。トラブルに遭うこともあるもけれど、さまざまなトライ&エラーをしながら、お金の価値や使い方・工夫の仕方を学ばせたいものだ。
(田幸和歌子+ノオト)