●親のコミュニケーション能力が、子の夜遊びを阻止する!
「寝屋川の事件以来、警察の補導体制がより強化され、子どもたちが夜の街にいられない状況は出来つつあります。そのため今は、子どもたちのたまり場が、親がいない、または親が育児放棄している友だちの家になっています。これもまた問題で、両方の親の間に、きちんとした人間関係があれば安心なのですが、泊まりに行く先の親の顔も子どもの顔も知らないというお母さんたちが急増している。本来、わが子が“友だちの家に泊まりに行く”と言えば、必ず相手の親に電話を1本入れるべきですが、コミュニケーションの取り方がわかっていないために、その1本の電話すらかけられないというお母さんが増えています。なぜ、顔もわからない人の家に、大切な子どもを預けるのでしょうか? そんな形で子どもを預かる親、そんな家庭に子どもを泊めたらどうなるのか、それだけで状況は見えるはずです。“誰の家に行っていますか?”“わかりません”では、親の虐待です! ネグレクトにあたる。何でも子どもの言うなりにならず、親ならば、“ダメなときはダメ!”と毅然とした態度を取ることも必要なのです」(水谷氏 以下同)
「子どもの夜遊びを食い止めるためには、まずは家庭が温かい場所でなくてはならない」と語る水谷氏。
「子どもを健全に育てたかったら、まずは親が夜遊びをしない。やむおえず両親で出掛ける時は、必ず、おじいちゃんおばあちゃんか信頼のおけるご家庭に預けること。本来、そういう形でないとダメなはずなんです。子どもが夜遊びし始めたら、子どもを責めるのではなく、まずは親であるあなたが変わらなければならない。私は、相談を受けた保護者の方に必ず聞いています。“あなた方自身が、夜遊びをしていませんか? 夫婦仲はいいですか?”と。十何年かけて夜遊びする子に育ててしまったのは、誰でもない親なんですよ。子どもが問題行動に走ったときは、まずは親が反省して欲しい。家庭が温かかったら、家族と話が出来たなら…誰が肌寒い夜の街に出て行きますか?」
●玄関に花を添え、家のなかをキレイにするだけで、子どもは帰って来る!
「親の責任として、しっかり門限をもうけることはもちろん、ママがあることを心がけるだけで、子どもは家庭に戻って来る」と水谷氏は語る。
「門限はしっかり守らせてこそ効果を発揮します。小学生なら17~18時、中学生なら塾や部活もあるので20時、高校生なら21時が理想でしょうね。それと同時に、親の門限も作ること。親のどちらかが、夜の22時までには家庭に戻って、そこからは家族の時間を作る。親が飲み歩いて午前様で、子どもに“門限を守れ!”と言ったところで、説得力がありません。親が規則を作ってしっかりと守り、子どもに背中で見せていくことが大切なんです。あと、お母さん方に申し上げたいのは、家のなかの片づけをきちっとして欲しいということ。家のなかが片付いているだけで子は変わります。子ども部屋は週に1回一緒に掃除し、玄関には一輪の生花を添えましょう。家のなかがきれいだったら、どれだけ心地いいか…。僕が問題のある子を家まで送っていくと、必ずと言っていいほど、家のなかがメチャクチャ。ひどい時には、ゴミ屋敷化している家庭もある。酒ビンやペットボトルが散乱している…そんな家に、子どもがいたいと思いますか?」
最後に、もしも夜遊びしそうになった時、実践して欲しいのが、この方法だ!
「理想論かもしれませんが、“悪い仲間に引きずられているな”“危ないな”と思った時、親は大変かもしれませんが、付き合っている友だちを丸ごと家に呼びます。そこで夕食を食べさせたりして、親が子どもの友だちとも人間関係を構築していく。もしも厳しい家庭なら、悪い友だちは、“あいつん家は厳しいから、付き合うのやめよう”になるかもしれないし、いじめようと思っても“あいつの母ちゃんには世話になったから、いじめられねぇや! いじめられたらみんなで守ろうや!”という話に進むことも。さらに言えば、友だちの親とも人間関係を築いて欲しい。周囲に相談して親同士が助け合える…良好なソサエティができていくと、子どもたちは救われます」
まずは家のなかをキレイに! 子を正したければ、親が背中で見せること、親のコミュニケーション能力が、思春期の子どもと良好な関係を築き上げるということ…しっかりと肝に銘じておきたい。
(取材・文/蓮池由美子)