●購入時にはほとんど気づかない欠陥
ひと口に欠陥といってもさまざまですが、その多くは購入時にはなかなか気づくことができないもの。住み始めて何年かして、床下浸水や雨漏りといった不具合が生じることで初めて欠陥の存在を知ることになるわけです。
特に多いのは雨漏りや外壁・内壁の亀裂。もし、住み始めて何年もたたないうちにこれらの不具合が生じるようなら、それは老朽化ではなく「欠陥住宅」と認定されてしかるべきでしょう。
では、具体的な不具合の事例と、見分け方を見てみましょう。
【雨漏り】
雨漏りは屋根や外壁の施工不良などによって起こります。雨が降った直後に、屋根裏をチェックし、内側に水がしみだしていないか確認しましょう。
【傾き】
横浜のマンションのように、基礎部分の施工不良などによって起こる傾き。フラットなはずの床にビー玉などを置いて、転がるかどうかをチェックする方法がよく知られています。ただ、ビー玉が転がるからといって、すぐさま欠陥とは言い切れません。一般的に欠陥住宅か否かの基準は傾きが1000分の6以上ある場合といわれています。もし、ビー玉チェックで不安を感じたら、専門家に検査を依頼してみるといいでしょう。
【床鳴り】
歩くたびに音が鳴る「フローリングの床鳴り」。気候により床材が収縮することで起こることもあり、一概に欠陥住宅といえるものではありませんが、場合によっては不同沈下(地盤が均等に沈下せず、建物が傾斜している状態のこと)などの問題を起こしている可能性もあります。重要なのは「音の種類」。木質系フローリングの場合はわざと大きな音を立てるように歩いてみて、「キイキイ」といった木材同士が擦れ合うような音であればそれほど深刻ではありません。ただ、「ギシギシ」「ギュギュ」「コツコツ」といった音が鳴る場合は、何らかの施工不良が疑われる可能性もあります。
●重要なのは施工会社や販売会社の「息がかかっていない検査業者」を選ぶこと
なお、これらの簡易チェックは、床や天井を剥がすなどの大がかりな工事を必要としないため、年末の大掃除の際にでもまとめて行うといいでしょう。
それでも心配なら、専門家に調査を依頼したいところですが、重要なのは施工会社や販売会社の「息がかかっていない業者」を選ぶこと。たとえば、日本ホームインスペクターズ協会などに問い合わせることで、プロの住宅診断士が第三者的、専門的見地から欠陥の有無を見極めてくれます。
家族とともに長い時間を過ごすマイホーム。これからも安心して暮らし続けるために、一度チェックをしてみるのもいいかもしれません。
(文・前田智行)