親の介護、お金の面はどうしたら?

第2回 親の介護、どうする?
事前に準備をしておきたい、親の介護費用。そもそも、介護にはどれくらいのお金がかかるのだろうか? 介護問題に詳しい『親ケア.com』の管理人、横井孝治さんに話を聞いてみた。

「介護期間は思っているよりも長丁場です。生命保険文化センターの調査によると、平均的な介護期間は14年1カ月。要介護になったときの初期費用は約262万円、月々にかかる費用は平均すると17万2000円です。そのほか、利用するであろう介護サービスの費用を合わせてこれらを計算すると、ひとりあたり3000万円近く、介護にかかることが分かります」(横井さん 以下同)

これが、配偶者と自分の親を合わせた4人分でかけ算をすると、親の介護費用は1億2千万円必要ということになる。おいそれと出せる額ではないが、どうしたらいいだろうか?

「費用は要介護者のお財布から出すのが大前提です。どのサービスを利用するかは親の預貯金や年金をベースに計算して考えます。介護費用とは、いくらかかるのかではなく、いくらかけられるかで考えるべきです」

食卓で食事をする家族

●頼もしい味方、介護保険とは

介護の金銭的負担を減らしてくれるのが介護保険だ。介護保険は40歳になると、自動的に被保険者となり保険料を納めるため、手続きは不要。被保険者の対象になるのは、65歳以上の第1号保険者と、健康保険に加入している40~64歳の第2号保険者に分けられる。

第1号保険者は原因を問わず、介護や支援が必要と認定されたら介護サービスを受けることができる。一方、第2号保険者は、末期がんや脳出血による後遺症、パーキンソン病、骨粗鬆症による骨折などによって要介護者になった場合にサービスを利用可能だ。

「介護保険の給付でサービスを受けるには、市区町村に申請をして要介護認定を受けなければなりません。申請をすると、親の心身の状態を知るために訪問調査員が自宅などに訪れ、調査を行います。『今は元気に見えるが、夜は徘徊して認知症の症状が強い』など、事前に介護の記録を取っておくと、証拠として渡すことが出来ます」

日ごろの様子をメモに取るなど、本人の代わりに家族が説明できるように準備しておくと、より正確な調査を行ってもらえるそう。

「要支援や要介護の判定を受けると、介護保険サービスを1割負担で利用することができます。1カ月に利用できるサービスの上限額は決まっているので、超えた分は全額自己負担となります。また、平均的な年金収入の水準を超えると、自己負担額は2割。親の心身の状態や介護に使える資産に合わせて、サービスを選ぶのが鉄則です」

親の介護問題で気になる、お金の話。高額な負担が予想されるので、いざというときのために、しっかり準備しておこう。
(石水典子+ノオト)

お話をお聞きした人

横井孝治
親ケア.com
株式会社コミュニケーター代表取締役。自身の親の介護をきっかけに、介護の情報サイト『親ケア.com』を開設、運営を行っている。介護関連の記事を多数執筆。
株式会社コミュニケーター代表取締役。自身の親の介護をきっかけに、介護の情報サイト『親ケア.com』を開設、運営を行っている。介護関連の記事を多数執筆。