●ペットを通して命に対する責任を持つ
かわいいペットは癒しを与えてくれるだけでなく、子どもの成長にも良い影響を与えるといわれています。では、具体的には子どもにどのような好影響があるのでしょうか? にほんまつ動物病院の二本松昭宏院長に話を聞きました。
「一番は、やはり命の大切さを感じることができるということです。触ると温かく、呼吸をして、ときに病気になる。そして、やがて死を迎えます。子どもにとってはショッキングなことですが、ゲームのようにリセットできないリアリティを、強烈に感じるのではないでしょうか。そうした命あるものとの触れ合いを通して、自分以外の命について責任感が芽生えると思います」(二本松院長、以下同)
自分より小さく儚い命の存在は、慈しみの心を育むのに最適とのこと。ペットを飼うことが、人としてもっとも大切なことを学ぶ入口になるのかもしれません。
●ペットとの暮らしから無条件の愛情を知る
また、他者を思いやる想像力も身につくと二本松院長は言います。
「ペットの様子がいつもと違ったときに、『お腹空いているのかな?』『何か困っているかな?』などと考える。すると自然に、相手を思いやる想像力が育まれます。同時に、『この子が元気だと自分も嬉しい』という感覚を持つようになり、いわゆる無条件の愛情が自然と身についてくると思います。幼少期にそうした豊かな心を育てることで、成長してからも自分の利益だけではなく、相手の利益も考えられる大人になっていくと思います」
他者の気持ちに敏感になることは、コミュニケーション能力の向上にも役立ちそう。子どもとペットのふれあいは、心とスキル、2つの側面から大いにメリットがありそうです。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)