●ここまで来て、”とにかく何が何でも算数!”は危険
「まずはここまで、お子様方は十分戦ってきました。それでもお母様方はまだまだ不安だし、最後の追い込みとばかり、焦りが極限に達することもあるでしょう。特に算数ができないと、“本当にこれで受かるのかしら?”と不安になり、お母様方は算数ばかりやらせたがる。気持ちはよくわかりますが、ここまで来て、その考え方はちょっと危険です。正直、そこまでがその子の力量とも言えるので、お母様方の割り切りも必要なのです。算数は、もちろん学力が落ちないように、丁寧なメンテナンスが必要ですが、残された時間を有効に、さらに点数UPにつなげるためには、今こそ暗記ものに力を注ぐべきだと僕は思います」(賀一氏 以下同)
算数の論理的思考力や国語の文章力を、今から根本的に養うのは正直厳しい。今から得点力に直結するのは、社会や理科の暗記ものか、国語の知識だと賀一氏は語る。
「もうここまできたら、できないものをいくらやらせても、子どもたちは自信を失うばかりなんですね。だったら、暗記ものを徹底的にやらせて、点に結びつかせていく方がいい。過去問で、社会など何かの科目の点数が上がれば、子どもたちは自信がついて、最後の1カ月でグンとやる気になります。今この時期に大切なのは、何より、子どもたちに自信をつけてあげること。それには、目に見えてわかる、過去問での点数UPが一番効果的と言えます」
ラスト2カ月を切った今、塾とは別途の家庭教師や個別塾が有効かどうかも聞いた。
「よく“溺れる者は藁をもつかむ”と言いますよね。でも、つかむのは所詮“藁”なんですよ(笑)。藁をつかんでも、やがては沈んでしまいます。お母様方が焦る気持ちはとてもよくわかりますが、ここまで塾の先生を信じてきたのであれば、周りの余計な情報に振り回されず、その先生をひたすら信じてやっていくべきだと思います。 ただ、お子様方にはギリギリまで粘りに粘って勉強してほしいと僕は思います。試験当日“もうい~や~”と投げ出さず、開始時間ギリギリまで、ノートを見て粘ってほしい! 校門前で、塾の先生とダラダラ握手している場合ではありません。意外と、“ついさっき見たやつだ!”ということがあって、この1点2点の差で、合格不合格が決まることもある。だから、最後まであきらめずにギリギリまで…お子様方には、“まな板の鯉になるな!バタバタしろ! ”と言いたいですね」
コツコツ勉強する女子とは違い、特に男子は、ラスト1カ月で大きく伸びると言われる中学受験。ママも、“粘りに粘ったもん勝ち!”という信念で、最後まで子どもたちを応援しよう!
(取材・文/蓮池由美子)