●“不合格”したことに一切触れず、スルーするのはNG
「受験は人生の通過点でしかありません。特に中学受験であれば、それがすべてでは絶対にないのです! お母様方には特にそれを肝に銘じて頂きたい。恋愛だって、1度も振られたことがない人より、1度振られた経験がある人の方が、はるかに魅力的で、その後の恋愛だってうまくいくはずです。どうか愛するお子様が、中学受験の痛手を引きずって、暗い顔のまま公立中学に通うことだけはさせないようにして頂きたい」(賀一氏 以下同)
よく家庭でやりがちなのが、“不合格”したことに一切触れず、スルーしてしまうことだそう。
「傷つかないように…と親が気を使って、事実を真正面から受け止めて消化せずに、スルーする。これは断じてやってはいけないことだと思います。つらいことですが、親も子も不合格をしっかりと受け止め、一緒に落ち込み、共に泣くなら泣く…。親の判断ミスで受験を失敗したと思ったならば、素直にそれを認めて、お子様に謝ってもいいのではないでしょうか。親が触れないようにしていることこそが、深く子どもの心を傷つけるのです。それくらい僕は大変な失敗をしてしまんだと…。不合格は、子どもも親も失敗と向き合う良いチャンスなのです。そしてそれを乗り越えてこそ、また一歩確実に成長できる! お子様が不合格を受け止めて乗り越え、新たな気持ちに切り替えるように促しましょう」
「合格した子も、不合格になった子も、必ず塾に来させるようにしてください…」これも有名進学塾の合言葉だが…。
「自分も大手有名進学塾で4年間受験生を担当していましたが、はっきり申し上げて、大手の塾は、不合格した子のアフターフォローは苦手だと思いますよ。合格発表後の塾に行けば、どうしたって、合格した子どもたちが喜ぶ様を目の当たりにしてしまいますし、塾全体が浮足立っている。先生方も、不合格になった一人ひとりまで、しっかりとしたアフターフォローができているかといったら微妙なところです。塾としては、合格して異様にテンションが高い親子の相手もしますし、次の学年の募集も重要な時期。もしもお子様が嫌がるようなら、無理に塾に行かせる必要はありません。その分、家庭できっちりとフォローし、気持ちを立て直してあげることができればそれでいいと僕は思います。誰よりも、お子様を愛している親御さんにしかできないアフターフォローが、きっとあるはずです」
受験生の親であれば、今から「もしも…」のことは考えたくないが、この心得を知ってるか否かが、その後の子の成長を大きく左右するのかもしれない。
(取材・文/蓮池由美子)