「更年期」というと、一般的には女性の場合、閉経を迎える50歳前後の10年間ほどといわれる。しかし最近、20~30代の「若年性更年期」も増えているとも耳にする。それってホント? 成城松村クリニック院長の松村圭子先生に聞いた。
「『若年性更年期』というのは医学用語にはありません。症状がいわゆる更年期と似ているため、そう呼ばれることがありますが、メカニズムはまったく違います」(松村先生 以下同)
いわゆる「更年期」は40代後半くらいから起こるのが一般的。その原因は卵巣の働きが低下し、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌量が急激に減少することだそう。
「卵巣機能の低下でエストロゲンが減少すると、もっと出すようにと脳の視床下部が命令を出し続けます。それでも卵巣が応えられないので脳がパニックを起こし、火照りやめまい、のぼせなどのさまざまな症状を引き起こすのです」
●家電の影響やライフスタイルの変化が原因
一方、更年期の症状に似ている「若年性更年期」とも呼ばれるもののメカニズムとは?
「20~30代は卵巣機能が安定しているので、更年期の症状は出ないはずなのです。しかし、ストレスや睡眠不足、過度なダイエットなどが脳の視床下部にダメージを与え、自律神経に影響を及ぼすのです」
20~30代の更年期のような症状は、卵巣機能とは関係なく、ライフスタイルや環境が影響しているということだ。
ではなぜ、近年増えていると言われるの?
「家電の発達の影響がひとつにあります。例えば、エアコンの普及により、外気と室内の温度差が5度以上もある環境がつくられたことや、年中冷たいものを飲むようになった、テレビやスマホなどの光を浴び続けることで、生活リズムがくるい、自律神経が乱れやすくなっているのです」
さらに、時代とともにストレスが多様化していることや、小学生からダイエットをするような生活、朝食をとらないこと、夜型になっていることなど、さまざまな原因があるそう。
医学的には「若年性更年期」というものが存在するわけではない。でも、20代~30代などにもかかわらず、更年期に似た症状がある人は、まずは自分の生活リズムの見直しなどをしてみては?
(田幸和歌子+ノオト)