そうした問題点について、精神科医で町沢メンタルクリニック院長の町沢静夫先生は次のように指摘する。
「今は結婚したがらない男性、彼女を見つけられない男性の相談が多数あります。経済的理由もありますが、話を聞くと、『女の子がいない』などと言うケースが多く、自分が声をかけられないだけ。親子の仲が良すぎるせいもあるのです」
母親と仲が良すぎる男の子の場合、言葉にしなくても、母親が“あ・うん”の呼吸で何かと察してくれることが多いもの。すると、伝えようとする力が育たなかったり、恥をかくことができなかったりするケースがあるそうだ。
では、いつまでも幼く、性の目覚めが遅い子に対して、親がすべきこととは?
「アメリカでは性の問題は父親が教えるのが一般的ですが、日本では男友だちが教えることが多いですよね。性の問題は親には関係ないですから、口出ししないことが一番です。また、女の子は母親から教えられるのが自然。しかし、学校で正確な知識が与えられるべきです」(町沢先生 以下同)
●思春期は子どもが仲間作りをするチャンス!
性の目覚めが遅くなっている原因には、「親と仲が良すぎること」と同時に、子ども同士の関係性もあると町沢先生は言う。
「昔は思春期になると、男同士、女同士に分かれて集い、ちょっと進んだ子が周りの同性友だちにHなことを教えたものです。でも、今は子ども同士で遊ぶ機会が減っているため、性を意識しにくいのです」
思春期になると、特に男の子は、学校や友だちのことなど、親に何も話さなくなる子も多いもの。帰宅が遅くなったり、様子が見えたりしないと、親としては当然不安になることもあるが、干渉しすぎないことも必要だそう。
「思春期は、子どもが仲間と遊ぶチャンスです。そこで本当の友だちもできるし、性の勉強も、社会勉強もできる。いちいち親が干渉していては、そうした子ども同士のつながりが育たないのです」
でも、親からすれば、子が自分の元を離れるのは少し寂しい気もする。
「そうした場合は、子どもばかりでなく、ダンナさんに目を向けてみましょう。ここでダンナさんと離れてしまうと、その先ずっとということも多いです。子どもの思春期をともに少し離れた場所から見守ることで、夫婦仲を深めれば良いのです」
子どもの変化に目は向けつつも、なるべく口を出さず、かかわらないこと。親の辛抱が、子どもの性の芽生え、そして成長につながるのかも。
(田幸和歌子+ノオト)