むく?むかない?もう迷わない子どもの包茎問題

第1回 もう悩まない!子どもの包茎
「心配しなくたって、昔は自分で何とかしたもんだよ」「放っておいて大丈夫だから…」そんなパパの声を信じて、子どもの包茎問題にふたをしているママは要注意! 昨今の包茎問題は、すでに「パパにお任せ!」の時代ではなくなってきている。そこで、「むきむき体操」の考案者で、厚木市立病院・泌尿器科の岩室紳也医師を取材。21世紀の子どもの包茎問題に迫る!

●理想は、生まれてすぐに“むきむき体操”!

「お子様の包皮をむくかむかないか…もちろんご家庭の判断で構いませんが、ぜひお母様方には、20年、30年前のお父様方の実体験だけを信じずに、どうか息子さんの将来を見据えて判断して頂きたい。将来、全身麻酔の包茎手術を避けるために、そして、亀頭包皮炎(菌が感染しておこる炎症)などで、お子様がおちんちんを腫らしてから病院へかけこむのではなく、そんな悲劇やトラウマを起こさないための予防をしっかりとして欲しいのです。そのためには、おちんちんをいつも清潔に洗える状態にしておかなければならない。基本的には、幼稚園からでも、小学生からでもいつでもかまいませんが、生まれてすぐ、包皮がむけるようにすることが理想と言えます。“かわいそう”と思うかもしれませんが、ポイントをきちんと学習し、息子さんの将来を考えて、おむつを変える時、一緒にお風呂に入る時、ぜひ挑戦してみて下さい。かぶれば包茎、むければOK!が合言葉です(笑)」(岩室氏 以下同)。

仮性包茎や真正包茎でおちんちんが清潔に保てないために、包皮内に白いカス(恥垢)が溜まったり、細菌が入り込んで炎症を引き起こす“亀頭包皮炎”になったりすることも。繰り返す前に、ぜひとも“むきむき体操”にトライして欲しいと熱く語る。

「亀頭包皮炎の場合、小児科では炎症を治すことはしますが、再発防止に向けて、その後の指導をうながしてくれる医師はまだまだ少ない。包皮炎を何回も繰り返さないよう、息子さんの将来のためにも、すぐにむくことをお勧めします。私が考案した“むきむき体操”にチャレンジしてみて下さい」

●岩室氏考案!むきむき体操

1.両手の親指と人差し指を使っておちんちんの根元を持つ。
2.包皮をゆっくりとずらしながらおろす。包皮が突っ張った感じがしたら、手を離さず、そのままキープ(10秒くらい)。
3.亀頭部の先がちょっと見えてきたら、おちんちんを持つ手がずれることもあるが、皮膚をずらしながら根元を持ってむく。
4.亀頭部が半分くらい出て来たら、包皮を戻す。「むいて、もどす」の動作を20回ほど繰り返す。
5.戻らなくなった場合は、亀頭部を30秒間思い切り潰した後、根元を持って包皮を戻す。

むきむき体操

「包皮輪が小さく、亀頭部の先が見えてこなかったり、包皮がむきにくかったりしたら無理をしないこと。焦る必要はありません。毎日毎日、少しずつ“むきむき体操”を続けていけば、包皮口が広がり、誰でも必ずむけるようになる。むけない包茎はありません! ただ、決して無理はせず、お子様が泣きだすまでやらないでください。亀頭部と包皮が癒着している場合は、1週間に1mmほどはがすようなイメージで、気長に続けましょう。とにかく毎日続けることが大切です。子どものおちんちんの入口である包皮輪はまだ小さいため、むいた後、きちんと元に戻さないと、希に陰茎部を締め付け、腫れ上がってしまうことがあります。必ず元に戻しましょう。そして一度むけたからといって安心せず、その後もむき続けて定着させることも大切です。よく、“むきむき体操”のために、リンデロンなどのステロイドを処方する医者もいますが、ステロイドは、決して包皮を簡単にむいてくれるわけではなく、包皮を柔らかくする作用があるだけのこと。僕は、あまり必要ないと考えます。亀頭部が見えるようになるまで、1年かかるお子様もいます。あきらめずに頑張りましょう!」

むきむき体操が成功すれば、毎日自分で洗えるようになるが、しばらくの間は、ママやパパからも声かけを忘れずに!

(取材・文/蓮池由美子)

お話をうかがった人

むきむき体操・岩室紳也先生
岩室紳也
ヘルスプロモーション推進センター(オフィスいわむろ)
自治医科大学卒業。へき地医療に従事後、泌尿器科専門医に。自らを“コンドームの達人”と名乗り、思春期の性教育にも積極的に参加。性感染症は性生活習慣病ととらえ、HIV/AIDSの診療も手掛ける。
自治医科大学卒業。へき地医療に従事後、泌尿器科専門医に。自らを“コンドームの達人”と名乗り、思春期の性教育にも積極的に参加。性感染症は性生活習慣病ととらえ、HIV/AIDSの診療も手掛ける。