だが、授乳やオムツ替えが頻繁な時期はともかくとして、生後3カ月が過ぎて生活リズムが整ってくれば、わずかなりとも自分の時間も作れるようになるのでは?
「子育て中は、“できない理由”をいくらでも見つけられます。ですがそんな時期だからこそ、自分が本当にやりたいことは何なのかを考える機会であるともいえます」
そう語ってくれたのは、子育て心理学.協会代表理事にして育児相談のスペシャリストでもある東ちひろさん。一男一女の母である東さんは、育児を「いいわけ」にしないで、子育てをしながらキャリアをステップアップさせてきた。
「私は、子育てをしながら通信制の大学に入学・卒業して、必要な資格を取得しました。それらはすべて現在の仕事に活かされています」(東さん 以下同)
そうはいっても、育児中の毎日は子ども主導で、自分のための時間を作りづらいのも事実。そんななかで、東さんはどうやって“未来への種まき時間”を作ったのだろう?
「大切なのは“自分時間の確保”を意識すること。子どもが小さいうちは難しいかもしれませんが、1日15分でもいいので自分のためだけの時間をキープしてみましょう」
子どもが小さいうちは「まとまった時間」の確保は難しい。だが10分、15分と短くてもいいので、“自分時間”を意識して持つのがポイントだそう。
「子どもの昼寝のあいだ、就寝後、夫に子どもを預けるなど、いくらでも工夫はできるはずです。その癖づけが出来ると、子どもが幼稚園・小学校に入園してからも上手な自分時間が作れるようになりますよ」
●育児が終わっても人生は続く
東さんの場合は仕事のための“種まき”にあてたが、どう使うかは人それぞれ。必ずしも仕事に直結させる必要はない。趣味を深めたり、好きなことを増やしたり。育児とは関係ない、自分だけの楽しみや喜びを見つけることが、人生の充実につながるのだ。
「ちょっと気になるなと思うものを見つけたら、どんどん調べたり、関係あるイベントに参加したりしてみましょう。自分が好きと思えるものをひとつでも多く増やしていくこと。それだけでも人生はグッと豊かになります」
「育児」をいいわけにせず、ちょっとした工夫で時間を作り、自分の未来への種をまく。子どものためではなく、自分の未来を考えること。
今はまだ幼いわが子もやがて自立し、育児には必ず終わりが来る。いつか訪れる「子離れ」の日、そのときにひとりの女性として再び人生を楽しむためにも、今から“自分時間”を大切にキープしていこう。
(阿部花恵+ノオト)