●幼少期から親子でたくさん会話を楽しめば、思春期はきっと怖くない
「僕と妻が育児を楽しんでいる間に、ちっちはあっという間に中学生になるでしょうね。“特に男子の思春期は難しい”と言われますが、実は僕、ちっちの難しい姿がまるで想像できないんですよ(笑)。思春期に入って、子が親とまったく話さない、親に暴力を振るうとか、極めて難しい局面に遭遇するご家庭は、小学生までの親子のコミュニケーションの取り方が、どこか欠落しているのかなとも思います。もちろん、今後ちっちがどんな思春期を迎えるか…それはまだ体験していないので一概には言えませんが、小さいうちから親子でたくさん会話をして、しっかりと親子の歯車を回転させておけば、きっとその歯車は止まることなく、一生回転し続けるのではないか…僕はそう思っています」(東儀氏 以下同)
――東儀家では、ちっちくんが赤ちゃんの頃から、大人と会話するように、多くの言葉を語りかけてきたそうですが…。
「僕も妻も、赤ちゃん言葉をいっさい使わず、大人と会話するように“言葉”を大切にした子育てを心がけてきました。それが今のちっちのコミュニケーション能力につながっているのかなと思います。ずっと彼を子ども扱いせず、対等に同じレベルで会話をしてきたので、おそらく思春期を迎えても、ただその関係が広がっていくだけなんじゃないかと…。そうしてやがて“大人対大人”になっていくのではないでしょうか。ですから、やがてちっちが僕と会話をしなくなるとか、僕を嫌がるとか、まるで想像ができないんですよ。周りの人からもよく言われますが、僕、スーパーポジティブ思考なので…(笑)」
――「自分も反抗期は特になかった」と語る東儀さん。反抗期がないまま、親と良好な関係を築き上げている友だちもたくさんいるそうですね。
「反抗期はもちろん悪いとは思いません。でも、僕の周りを見ていると、親の愛を一身に受けて育てられた人たちは、しっかりと親を敬い、親の気持ちをおもんぱかることができるんだなと感じますね。僕の育児が正しいかどうかは、ちっちが大人になるまで結論は出ませんが、子どもとたくさん会話をして、親子のコミュニケーションを大切にすることは絶対的に正しいはずです。“今からやっても、もう間に合わないのでは?”とかそんなことはまったくなくて、手遅れだと思ったら手遅れだし、間に合うと思えば、お子様がいくつであろうが間に合います。そこは親のモチベーションひとつでどうとでもなりますよ。ですから、明日からでもぜひ、お子様が今一番何に興味があるのかを探って、たくさん会話をして頂きたいですね」
――育児本を出版するにあたり、改めて、両親の愛情や思い出、そして親への感謝の気持ちが湧き上ってきたそうですね。
「執筆している間は、常に両親との絆を感じ、親を思う時間だったような気がします。これからも、決して押しつけがましくなく、遠くから見守るスタンスを大切に…ちっちとたくさん会話をして、今しかない子育てをワクワクしながら楽しみたいと思います」
(取材・文/蓮池由美子)