●育児休暇をブランクにしない
育児休暇ならぬ、育「自」休暇。育休中に自分のスキルを磨いて復職後に備え、キャリアアップを目指すというものだ。働く女性にとって「ブランク」になりがちな育休期間を、復帰後を見据えた「ブラッシュアップ」期間としてとらえ、次のキャリアへのステップボードにするスタイルが今後は増えていくという。
現在、女性の平均初産年齢は30.6歳。30歳~34歳での出産が全体の35.8%を占める(平成26年人口動態統計(確定数)母の年齢別にみた出生数 ※出産全体)。
一方、30代前半は女性にとってキャリアの転換期でもある。管理職への昇進も見据え、新たな力が求められる時期だ。そのタイミングと出産期が重なることが、育休中もスキルアップに励む意欲を生むようだ。
●育休中の学びをサポートする企業も
なお、『ケイコとマナブ』が行ったアンケートによれば、30~35歳の育休取得女性のうち11.5%が仕事のための学びを実施。全体の1割と決して多くはないが、企業側も「育自休暇」を応援する制度を用意する動きがあり、今後の普及拡大に期待がもてるという。
たとえば、三井住友海上では「ワーキングママ支援プログラム」を実施。自宅PCやスマートフォンで何度でも受講できる約130コースのeラーニングを用意している。受講料は全額会社負担だ。
また、富士フィルムも「育児休業者復帰支援プログラム」を導入。英語や文書作成などに加え、育児と仕事を両立するためのライフスタイル応援講座も実施している。こちらも会社が受講料を負担する。
さらに、大手ビジネススクールでも、たとえばSBI大学院が育児休業中の女性を対象にした学費の減免を展開していて、入学金・授業料などが40万円オフになる。このように、「育自休業」に励むための環境は少しずつ整いつつあるようだ。
出産を経ることで出世コースから外れることを「マミートラック」などと呼び、ネガティブにとらえる向きもある。だが、育休をブランクにするか、さらなるキャリアアップのための好機ととらえるかは自分次第なのかもしれない。
(前田智行)