●感情が先走ると、問題を余計こじらせてしまうことに…
「とにかく笑顔で挨拶! 天気の話など、無難な会話を二言、三言、気持ちよく交わすこと。ただし、お互いの家庭の事情、子どもの成績や仕事のことには踏み込まないこと。ご近所事情は、お互いに知りすぎてしまうと息苦しくなるので、適度な距離感が必要なのです」(大美賀氏 以下同)
特に集合住宅や新興住宅地に住むママたちは、ご近所との距離感が難しいと頭を悩ませる。なかには、「隣のママ友が子どもを平気で預けていく」「近所の子どもが我が家の車の前でボール遊びをする」など、子どもをめぐるトラブルにストレスを抱えることも。
「もしも自分のなかで負担になっているときは、なかなか勇気がいることかもしれませんが、相手にその旨をきちんと伝えましょう。子どもが小さい時期、近所のママ友はとても頼りになる相手ですが、慣れ合いが進むと、知らず知らずのうちに遠慮がなくなります。冷静に“感情”と“問題”を切り分けて考え、負担になっている点はどこか、お互いにどうしたら気持ちよく付き合いを続けられるか、妥協点はどこかを探っていきましょう」
感情が先走ると、より問題をこじらせてしまうことになりかねない。
「“相手が一方的に悪くて自分は正しい!”という主張に固執してしまうと、問題がこじれがちです。隣接して生活している限り、迷惑の掛け合いはお互い様です。自分の家族も、思わぬところで、お隣を不快にさせているかもしれません。お互いが悪感情を募らせないように日頃から適度なコミュニケーションを取り合い、小さな問題に気づいたら、その都度、微調整していきましょう」
ご近所さんを、好き嫌いで分け隔てせず、誰にでも同じ対応を取ることも大切だという。
「困った隣人でも、同じように気持ちよく挨拶しましょう。ただし、相手のペースに無理に合わせたり、相手の言い分をすべて飲む必要はありません。相手が不愉快なことをしたり、言ったりしてきても、そのことにだけ注目して苛立つのではなく、“いったい何がこの人をそうさせているのだろう”と冷静に分析すると怒りは自然と静まります。その人の言動の背景に思いを向けることができれば、困った隣人への理解も深まるでしょう」
近隣トラブルが長期化し、重大事件につながるケースも増えている昨今。こちらのコミュニケーション次第で、トラブルを未然に防ぐことができるのかもしれない。
(取材・文/蓮池由美子)