●未就学児が友だちのモノを盗んでしまう心理とは?
もし、幼稚園児のわが子がお友だちのモノを盗んでしまったら…。
「未就学児がお友だちのモノを取っちゃう、盗んじゃう心理というのは、ひとつの原因は、“ほしい”というストレートな欲求そのまま。自分は持ってないのに○○ちゃんは持っている…だからもらっちゃおうかな?という単純なこと。もうひとつは、関わりたいんだけれど、それが言えないから相手を困らせる…という“付き合うきっかけ”作りです。まあ、男の子が好きな女の子にちょっかい出して気を引くような感覚ですね。まだこの頃の子どもは遵法意識も未熟なので、よほどのことがないかぎり、ひと言、注意する程度にとどめるのがいいと思います」(小俣先生 以下同)
●小学生低学年の子どもが万引きする心理
小学校くらいになると、遵法意識は高くなっていく。
「小学校低学年くらいになると、“やってはいけないこと”とわかっていながらも、“対象への魅力”つまり、ほしいという欲求がどうしても我慢できずに万引きしてしまうというケースが一般的です。しかし、なかにはとても深刻なケースもあり、親から虐待されていて家出して生きるために万引きを繰り返す子、家庭環境に問題を抱えており、寂しさから万引きを繰り返す子、親に命令されて万引きするといったケースもあります」
●思春期以降の子どもが万引きする心理
思春期以降になると、これまでの心理とは大きな変化がみられるという。
「思春期以降になると、もちろん“万引きはしてはいけないこと”とわかっていながらも“、スリルやゲーム感覚で万引きするケースが多くなります。思春期・青年期の心理のひとつとして、“突っ張ってみたい心理”は避けられないのですが、それが健全でないカタチで表われてしまうんですね。もうひとつは、“中和の技術”という心理があります。これは、自分の非行を正当化する理屈のことです」
この理屈・技術は、下記のような理屈が挙げられる。
「例えば、 “ゲームを買ってくれない親が悪い”“自分はやりたくなかったけど、友だちがやらないと仲間はずれにすると言ったから”と、他者に責任を求めたり、“隙だらけの店がいけない”と、被害者側を責めたり、“店の価格には、被害想定額が入っているから、店に被害はない”、“盗んだんじゃない、借りただけ”など、自分に都合のいい理屈をこねるのです。挙句の果てには、責める側の問題行動をあげつらい“同じ穴のむじな”であると逆に責めるという場合もあります」
このように、子どもがモノを盗んだり、万引きする心理・動機については、年齢によって異なってくる。
「成長段階に応じて子どもの心理を把握しておくことは、どう防ぎ、どう
対処するか? ということの糸口にもなるので、とても重要だと思います」
万引きの心理も、年齢とともに複雑化していく。子育て中の親御さんは、決して“他人事”ととらえずに、先回りして子どもの心理を常に把握し、心構えをもっておくことは、何よりの抑止力につながるのではないだろうか。
(構成・文/横田裕美子)