あなたの子どもは大丈夫?増えるスクールセクシャルハラスメント!

第2回 急増するスクールセクシャルハラスメント!
課外授業で猥褻行為をする、子どもの裸を撮影するなど、学校のみならず、塾や習い事…さまざまな教育現場で起きているスクールセクシャルハラスメント(以下SSH)。昔はなかなか表面化しづらかったSSHも、昨今では子どもの人権が取り上げられるようになり、メディアもこれを応戦。その実態が表面化するようになってきたと言われている。それでは、SSHは、なぜ安全であるべき教育現場で起きるのか? SSHP全国ネットワーク代表・亀井明子氏にその実情を聞いた!

●指導者の性的嗜好を見抜くことは不可能なのか?

「SSHがなぜ起きるか…それは、教員と生徒の間にある“力関係”が関与しています。担任教師と生徒であれば、成績や内申書に関わる、また部活であれば、顧問は“選手や代表を選ぶ”という立場であり自ずと力関係が生じています。子どもにとって学校は大切な場所であり、1日の大半を過ごすため、安心安全でなければならない。生徒は、なかなか先生に嫌ということができません。そしてセクハラ被害に遭った子どもたちは、そんな自分を恥ずかしく思い、親に打ち明けることができないのです。“親に心配をかけたくない”“親に責められるかも…”という思考が働き、表面化しづらくなるのが現状です」(亀井氏 以下同)

教師による猥褻事件が起きる度、まず親が感じるのは、「なぜこんな教師が採用されるのか?」という疑問。指導者を選ぶ際、性的嗜好を見抜くことは不可能なのか?

「小児性愛者に関しては、何とか見抜ける方法がないものかと、私たちも研究したり分析したり、日々努力をしていますが、心理テストで見抜くことはもちろん、今の教員採用段階では難しいと感じています。だからこそ、日頃から保護者が子どもとのコミュニケーションを深め、“何かおかしい”と些細な変化に気づくことが大切なのです。セクハラのみならずいじめや体罰も同様です」

親には打ち明けづらいスクールセクハラ

もしもわが子が被害にあったら…親が知るべき子のサインや、対処法はあるのだろうか。

「学校や習い事など、楽しみにしていたことを急に嫌がるようになったり、親と目を合わせない、口数が少なくなる、帰宅時間が遅くなるなどは要注意です。性被害は外傷がないため、外見からではわかりにくい。子どもの変化に気が付いた段階で根掘り葉掘り聞くと、かえって隠してしまうこともあるので、“何かあればいつでも聴くからね。話したくなったらいつでも話してね”と声かけして下さい。日頃から子どもとたくさん会話をして、気にかけている保護者であれば、子どもの些細な変化に必ず気づけるはずです」

「支援学級に通う生徒や、スポーツ強豪校の生徒に被害が多い」と語る亀井氏。

「障がいのある子どもたちや小学校低学年の子どもたちの場合、自分が性的被害に遭っていることすら理解できないケースがあります。また、スポーツ強豪校では、顧問をカリスマと神化し、保護者も崇拝してしまう傾向にある。もし子どもが被害に遭っても、“あの先生に限ってそんなことをするはずがない!”と親が顧問の肩を持つようになってしまうのです。そうなると、子どもはますますセクハラを我慢し、“親に受け止めてもらえなかった”と大人を信じなくなってしまいます」

学校、塾、習い事…真面目で熱心な先生たちはもちろん存在する。だが一方で、教育現場に聖域などなく、先生も普通の人であることを自覚しておかねばならない。どんなに指導者を信用しても、大切なわが子を任せきりにせず、常に関心を持ち教育に関与する…それが親の務めではないだろうか。

(取材・文/吉富慶子)

お話をうかがった人

亀井明子
NPO法人SSHP全国ネットワーク代表
「暴力防止情報スペース・APIS」をはじめ、フェミニズム視点を取り入れたカウンセリングルームを主宰。COSMO(ドメスティック・バイオレンスのサポートグループ)、SSHP(スクール・セクシュアル・ハラスメント防止)、CAP(子どもへの暴力防止)など、子どもや女性に対する暴力防止を目的とした市民活動を行っている。
「暴力防止情報スペース・APIS」をはじめ、フェミニズム視点を取り入れたカウンセリングルームを主宰。COSMO(ドメスティック・バイオレンスのサポートグループ)、SSHP(スクール・セクシュアル・ハラスメント防止)、CAP(子どもへの暴力防止)など、子どもや女性に対する暴力防止を目的とした市民活動を行っている。