「ひきこもりの一般的イメージと実態はかけ離れていますので、まずは『家族以外との関係性があるかどうか』を客観的に見る必要があります」と言うのは、『大人のひきこもり』(講談社)著者でジャーナリストの池上正樹さん。
「ひきこもり主婦」の主な特徴を以下に挙げてくれた。
<ひきこもり主婦チェックリスト>
□家族以外の人と、長期間、話す機会を持てていない
□悩みを共有できる相手がひとりもいない
□内科的病気があるわけではないのに、夫がいないときは何もする気が起きない、だるい、疲れる、気分がふさぐ
□人の気持ちに敏感になりすぎ、気疲れしてしまう
□人との競争が嫌いで、競争から自分でおりてしまう
□お人好しで、会話でも人に譲りがち
□断るのが苦手で、他者の期待に応えようと頑張ってしまう
「ひきこもりになりやすい人は、実は優しく、感受性が豊かであることも多いです。人の気持ちに敏感で気を遣いすぎるために、気疲れが多く、外に出るのが嫌になるのです」(池上さん 以下同)
●ひきこもり主婦はネグレクトになっている可能性も
小さな子を持つママの場合、ひきこもりが深刻になると、育児もできず、寝込んでしまう人もいるそう。
「幼稚園バスなどの送り迎えのときに、子どもがひとりで行き帰りをして、お母さんを見たことがないといった家庭も、ひきこもり主婦になってしまっている可能性があります」
とはいえ、育児がきちんとできて、家族もうまくいっているなら問題ないのではないかという気もするが…。
「家にいると、家族は安心でしょうが、『家から出なくても家族以外の誰も困らない』というのは、社会との接点が全くなく孤立した状態で、危険です」
また、「ひきこもり主婦」が子どもに与えうる影響もあるそうだ。
「ひきこもり主婦は、夫がいるときだけ良い妻を演じ、あとは何もしない、ネグレクトに近い状態というケースもあります。子どもは幼いうちに自立し、しっかりするものの、子どもらしく生きられず、愛情飢餓的になる可能性もあります。長い目でみれば、後に子どもが大人になったときに同じことが繰り返される可能性もあるのです」
また、表面上はうまくいっている夫婦に見えて、無理をしていることに気づいていないケースも少なくないそう。
「ひきこもり主婦」を脱するには、ひとりでも家族以外の人と関わりを持つことが大切。仲の良かった学生時代の友人やネット上の友だちなど、自分にとって一番気持ちを共有できそうな相手を見つけることから始めよう。
(田幸和歌子+ノオト)