「何も話さない子ども」に、親がしてはいけないこととは?

第3回 男の子のお母さんが言う「うちの子、何も話さない」問題
自分の子が何も話さなくて学校の様子がわからない、お友だちとのトラブルなどもまったく知らなかったというお母さんは、子どもに対してどのように接するべき? 

この問いに対して、教育研究所ARCS所長の管野淳一先生は次のように答える。

「男の子はコミュニケーションの手段として言葉で話すことが基本的に苦手なので、8~9割の男の子は何も話さなくても問題ありません。ですから、まず母親がすべきことは、『何も話してくれない』という心配が女性特有のものであって、話さないこと自体に問題はないと知ることです」

話さない子に対して、「言葉で追い詰めないこと」も大切だそう。

「女性から『どうしてそうなの?』『ちゃんと言ってよ』などと言われると、男の子も、夫も、心を閉ざすか暴力的になることがありますので、ときには気持ちを察してそっとしておくことも必要です」(管野先生 以下同)

家族の食事風景

●男の子にだって触れて欲しくない秘密はある!

また、親が息子について「すべてを知ろうとしないこと」も重要だと言う。

「男の子にも秘密はあります。特に女の子のことや性のこと、悪友などについては、それなりに苦労して学んでいくもので、母親には触れてほしくないのです。それを理解し、心配ばかりせず、温かく見守ってほしいと思います」

また、友人とのトラブルなども、基本的には本人たちが解決すればいちばん良いことで、親がすべて知る必要はないそうだ。

ちなみに、親が子どものためを思って細々と尋ねること、心配することは、子どもにとっては「お前を信用していない」というメッセージとして伝わるそう。

だからこそ、親は子どものことをすべて知ろうとするよりも、子どもが窮地に陥ったときに相談できるような関係性を日頃から作り上げておくことが必要だという。

「そのためには、家庭内が明るく、タブーなくなんでも話せる雰囲気や親子関係を築くこと。また、夫婦が信頼し合い、仲良く話せる姿こそが、子どもにとっての安心感につながります」

子どもの行動をすべて知ろうとしたり、コントロールしたりするのではなく、まず親自身が円満な関係を築き、楽しい家庭を営むことが何より大切なのだ。
(田幸和歌子+ノオト)

お話をお聞きした人

管野淳一
管野淳一
教育研究所ARCS 所長
高校講師、塾講師を経て進学塾クセジュを創立。2013年に教育研究所ARCS(アークス)を設立。塾という枠を超え、子育てに奮闘する父母に役立つ講演会やカウンセリングを行っている。
高校講師、塾講師を経て進学塾クセジュを創立。2013年に教育研究所ARCS(アークス)を設立。塾という枠を超え、子育てに奮闘する父母に役立つ講演会やカウンセリングを行っている。