小学校で校内暴力の低年齢化! 原因と対策は?

第2回 学級崩壊、校内暴力の低年齢化! いま小学校で何起こっているのか?
「近年、小学校の校内暴力が低年齢化しています。例えば、一年生が先生の後ろから走っていって跳び蹴りしたり、足をひっかけたり、モノを投げつけたり。大きな石を投げたという報告もあります」

そう話すのは、白梅学園大学教授で臨床教育学専門の増田修治先生。思わず耳を疑ってしまうような衝撃的事実だが、文部科学省の小学校、中学校、高校に行う“問題行動調査”によると、小学校内の暴力行為発生件数は昨年度に過去最多を記録したという。小学生に何が起きているのだろうか?

「今の社会は、親たちも、社会も“勉強できる子”“なんでもしっかりできるいい子”を求めますよね? そうじゃない子はダメという、その価値観の押しつけで子どもたちは自己肯定感が低くなり、日々のムカつきにつながってしまうんです。心のコップがあって、不満やうっ屈した思いがたまり続けている間はいい子でいられるのですが、心のコップの限界がきてバーッって噴き出してしまったときに、問題行動を起こしてしまうんですね」(増田先生 以下同)

子どもはいつもニコニコしてて、元気で、やる気があって、真面目なはずだ!という大人の思い込みこそが、子どもたちを追い込んいるという。

「そんな完璧な子なんていないわけですよ。みんな欠点もあるし、プラス面、マイナス面を持ってるから子どもなわけですよね? というか、もともと人間とはそういうものなのに、子どもにはパーフェクトを求める。そうすると、やっぱり子どもは“そんなのできないよ!”って爆発しちゃうんです」

校内暴力の低年齢化

子どもたちのいい部分も悪い部分も含めて、受け止めるやることが何より大事だと、増田先生は話します。

「“いい部分も悪い部分も含めてアナタなんだよね、それでいいんだよ!”ってすべてを受け止めてあげることによって、初めて自己肯定感が育つんですよ。褒めればいいというものではないんです。例えば、子どもがイライラしているときに、大人は“何イライラしてるの!”って抑えてしまって、自分は子どもにイライラをぶつけるわけです。でも、子どもはぶつけるところがないですよね? だから子どもが荒れちゃうのは当然なんです」

根本的な子どもに対する大人の考え方をかえなければ、今の子どもたちといい関係は築けないという。

「子どもたちだってこの厳しい世のなかで、いろんなストレスを抱えながら頑張って生きてるんですよ。だとしたら、親御さんもこの厳しい世のなかを生きているわが子は同志なんだと。同じ厳しい時代を生きている仲間なんだという感覚で子どもを見てあげなかったら、子どもは逃げ場がなくなってしまいますよ」

それは、友だち関係みたいになるということではないのだ。

「子どもがストレスを抱えたりすることは、普通のこと。同じ人間なんですから。つまり“ママだってストレスもたまるし、イライラもするよ。だから、そこをお互い分かり合おうよ!”ということです。どうか親御さん、世の大人の皆さんにそこをわかっていただいて、子どもたちがありのままの自分に自信を持ってのびのび生きていけるようにしてあげてください」

子どもに期待するあまり、追い込んで逃げ道をふさいでしまわないように、どうかお子さんのすべてを受け止め、愛してあげてください。
(構成・文/横田裕美子)

お話をうかがった人

増田修治
増田修治
白梅学園大学 子ども学部子ども学科教授
埼玉大学教育学部を卒業後、28年間の小学校教員 生活を経て、現職。専攻は、臨床教育学、学級経営論。 小学校教諭を対象とした研修の講師なども務め、さまざ まな学校問題に取り組んでいる。また、新聞、テレビ、雑 誌などメディアのコメントなども多数。「笑う子育て実例集」 (カンゼン)ほか、著書も多数。
埼玉大学教育学部を卒業後、28年間の小学校教員 生活を経て、現職。専攻は、臨床教育学、学級経営論。 小学校教諭を対象とした研修の講師なども務め、さまざ まな学校問題に取り組んでいる。また、新聞、テレビ、雑 誌などメディアのコメントなども多数。「笑う子育て実例集」 (カンゼン)ほか、著書も多数。