●子どものネガティブな感情を大事にしてやる
「実は今、親子関係のシステムが壊れ始めていると言われています。それは例えば、わが子に何か起こったとき、乳幼児が不安を感じたといき、母親に抱えられることによって安心が得られますよね? “ママ~”って戻ってきたら、よしよしってしてあげる。そういうふうにすると、また安心感を胸に外へ出ていくわけです。ところが、最近の親御さんは、“何やってるの!”“なんで泣いてるの!”“言い返してきなさい!”など、どうしても“強い子”を求めちゃうわけです」(増田先生 以下同)
ここでの親の対応こそが、その後の子どもの人間関係を変えるという。
「弱虫でいいんですよ。“いいよ、いいよ、やだよね~っ”って、親がその不安な気持ちを抱え込んであげるんです。そうすると、だんだんお子さんの人間関係が広がっていくんです。そうやって他者との関係が積み重なることによって、ネガティブな感情処理システムが出来上がっていく。つまり、これが感情制限の基礎を作るわけです。だから、不快な感情を大事にすることなんです。ポジティブとネガティブの間で揺れ動いているのが人間なのですから」
●家のなかで、子どもが落ち着ける場所を作ってやる
家でのお子さんの過ごし方についても、アドバイスをくださいました。
「よく、リビングに子どもの勉強机を置くと成績が上がるっていう話がありますよね? でもあれは、勉強の過程を褒めてやるならいいのですが、
“全然できてないじゃない!”とか“汚い字ね”とか、“いつになったら勉強始めるの?”など、監視の道具になってしまったらむしろ逆効果。それだったら、よっぽど置かないほうがいいんです(笑)」
そこで、増田先生がぜひ自宅で実践してほしいと話すのが、“家のなかに子どもが落ち着ける場所を作ること”。
「実は、子どもが一人でいる時間が大切なんですね。子どもは一人で居るとき、ぼーっとしてるときが、一番頭を働かせてるときなんです。何も考えていないように見えるんだけど、そのときが一番子どもが成長してるときなんですよ。だから、ぼーっとしたりする時間と一人で落ち着ける場所をぜひ作ってあげてください」
●子どもの選択権を奪わない。選択権を与えてやる
子どもは日ごろから、家庭でも学校でも選択権を奪われているという。
「例えば、家での家事分担の話になったとき、お子さんに“じゃあ、
あなたお風呂掃除当番ね”と決める。子どもはえ~っと、納得していないのに(笑)。それで、守れないと怒る。それは親の一方的な都合ですよね? 子どもは“勝手だな~”って思って当然です。そうではなくて、決めるときには、きちんとお子さんの意見、希望を聞いて、選択権を与えてあげてください」
こういった親の権力の刃みたいなのがいろいろあって、実はものすごく子どもたちを傷つけているそう。
「自分が権力や権威で押さえつけられると、今度は他者をそうしようとするんですよ。だから、学級崩壊したり、低学年の暴力がどんどん増えていくんです。そうならないように、どうか日々お子さんへの言動を大切にして子育てしていただきたいと思います」
家庭環境は子どもの土台を作る場所。親子関係をしっかり築いて、日々笑顔で学校へ送り出してあげてください。
(構成・文/横田裕美子)