和歌山県みなべ町と連携したメルシャンの梅酒の魅力に迫ります!
食欲&物欲旺盛なおうちごはん編集部とその仲間たちが、日本全国にある「おいしいモノ」を発見していく連載企画『ニッポンのおいしい、いただきます!』。まだまだ知られていない日本のおいしいモノを紹介していきます。
今回ご紹介するのは、和歌山県みなべ町の「黄色い完熟南高梅」。そして、この梅を原料として使用しているメルシャンの『まっこい梅酒』をご紹介します。
和歌山県みなべ町の「黄色い完熟南高梅」
いわずと知れた梅の産地、和歌山県。
その中でも、県の中央部に位置する日高郡みなべ町は、全国の3割以上の生産量を誇るまさに日本一の梅の里です。
みなべ町で栽培しているのは、梅の品種の中でも最高級とされる「南高梅」。きっとご存知の方も多いのではないでしょうか。
実はこの「南高梅」は、完熟すると樹上で黄色くなって落下するという特徴を持っているんだそう。そのため、園地となる急斜面には5月中旬頃からブルーのネットを敷き、落ちてくる完熟梅をキャッチしています。
6月中旬から7月上旬にかけて、みなべ町では完熟落下梅収穫のピークを迎え、この時期は町全体が「黄色い完熟梅」の豊かな香りに包まれるんだそうです。その香りは、桃のような甘い香りなんだとか……想像しただけでたまりません(笑)! 一年で一番忙しい時期とのことですが、ぜひこの時期に訪れてみたいですね。
完熟梅の使い道は、大部分が加工品
和歌山県全体における梅の収穫量を見ると、全体の約8割が「黄色い完熟南高梅」で、残りの約2割が「青梅」です。
一般的によく知られている「青梅」は、果肉がしっかりしているので生果での流通に向いており、収穫量も限られていることから高値で取引されています。5月頃になるとスーパー等でも梅酒や梅干し作り用に並んでいたりしますよね。
一方「黄色い完熟南高梅」は、果実が柔らかくつぶれやすいという性質から、生果のまま和歌山県外に移送することが難しく、なかなか全国には流通しません。その大部分が和歌山県内で梅干しやジャム、ジュース用の果汁などに加工されてから全国へ流通しています。
2000年頃には、国産の梅干しが安価な中国産の梅干しに押され気味になり、みなべ町では「黄色い完熟梅」の価値をどうにか高めることができないかと、新たな使い道を模索していました。
みなべ町の完熟梅とメルシャンとの出会い
傷みやすくて流通には向かない黄色い完熟梅ですが、フルーティーで甘い香りのよさはピカイチ。全国に出回らないため、産地の人たちしか知らない幻の存在でした。
2006年、そんな幻の完熟梅にメルシャンが出会います。
1960年代から梅酒づくりを手掛けているメルシャンですが、みなべ町の完熟梅に出会うまでは関東産の「青梅」を使った伝統的な手法で梅酒を生産していました。本格的に国産梅の研究に取り組むことになり、和歌山県果樹試験場「うめ研究所」を通して、みなべ町の梅農家さんと出会ったんだそうです。
はじめて農家さんの畑を訪れたのは、ちょうど収穫期を迎えた頃でした。完熟して黄色に輝く梅が実っていて、あたりは桃のような甘い香りに包まれていたそうです。表現するならば、まさに「桃源郷」といえる世界とのこと! その驚きと感動具合が伝わってきますね。
▲みなべ町のみなさん
メルシャンの担当者さんたちは、みなべ町の「黄色い完熟梅」のすばらしさに感動。このフルーティーな香りの特徴を梅酒に生かしたいと思い、みなべ町の生産農家さん、JA紀州と共同で新しい完熟梅の価値を生み出すために協力し合うことになったのです。
“梅酒=青梅”の概念を覆した「凍結完熟浸漬製法」
完熟梅のフルーティーな香りの特徴を見極めて梅酒に生かしたいと考えたメルシャン。しかし、梅酒の開発に着手した当時は完熟した梅を原料とした梅酒はほとんどありませんでした。
今でも、一般的には梅酒には青梅が広く使われているので、当時のみなさんの取り組みがいかに先進的だったのかということがよくわかります。
しかし、メルシャンには長年培ってきたワインの知見がありました。同時期に研究を進めていた「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香」の技術を応用し、従来の梅酒の製造方法を徹底的に見直して生み出したのが、凍結させた「黄色い完熟南高梅」を漬け込む「凍結完熟浸漬製法」という独自の技術です。
梅を凍結させることで細胞壁が破壊され、梅を凍結させない製法に比べて完熟香がなんと6倍もアップするんだそう!
この技術を活用し、2011年には『完熟あらごし梅酒 梅まっこい』『まっこい梅酒』が誕生。新たな「黄色い完熟南高梅」の活用用途を生み出すことで地元の課題解決に貢献、そして同時に、これまでの梅酒にない味わいの商品は他商品との差別化にもなりました。
配信: おうちごはん