卵の食べ過ぎは体によくないの?1日に食べていい量を管理栄養士が解説

卵の食べ過ぎは体によくないの?1日に食べていい量を管理栄養士が解説

手軽に調理できる卵は、朝ごはんからおやつまで幅広くにも重宝される食材です。しかし、「卵はコレステロールが高いから1日1個まで」など耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。卵を食べ過ぎることで体への影響はあるのか、どのくらい食べてもいいのか、管理栄養士が解説します。

卵の食べ過ぎは身体に悪いの?

「卵は1日一つまで」「食べすぎるとコレステロールを摂りすぎになってしまう」など、卵を食べ過ぎると体に悪いと聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
実際のところ、卵に含まれるコレステロールによって体に悪影響があるのでしょうか?また、食べ過ぎによってどんなことが起こるのでしょうか?注意すべき点についてお伝えします。

卵のコレステロールは気にするべき?

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卵に含まれるコレステロール量は、他の食品に比べると多く、1個(50g)あたり190mg含まれています。

よく卵を食べすぎてはいけない理由の一つにコレステロールを摂りすぎてしまうからという意見がありますが、結論からいうと、厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」においてコレステロールの目標量はありません。

もともとコレステロールは動脈硬化症などの疾患に影響があるのではないかと推定されており、目標量を成人男性が750mg、女性600mgを上限として設定されていました。
しかし研究の結果、目標量を決めるにあたって十分な科学的根拠が得られなかったため、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」より、コレステロールの目標量そのものを撤廃することが明らかになり、現在に至ります。

とはいえ、「コレステロール=体に悪い」という印象をもっている方も多いのではないでしょうか。
実は、意外にも私たちの体にとって、とても重要な役割を果たしています。

コレステロールの働き

コレステロールは悪い印象をもたれがちですが、私たちの細胞膜・ホルモン・胆汁酸を作る材料で、とても重要な物質。食事によって取り入れられる以外に体内でも合成されており、常に一定に保たれるように、調整されています。

また、健康診断などで「LDL-コレステロール」、「HDL-コレステロール」という項目を見たことはありませんか?

じつはコレステロールには2種類あり、肝臓のコレステロールを体全体に運び貯めるLDLコレステロール(悪玉コレステロール)と、血管壁にたまったコレステロールを回収し、肝臓に運ぶHDLコレステロール(善玉コレステロール)に分けられます。

このふたつのバランスが崩れることで脂質異常症や免疫機能の低下に繋がってしまうのです。

飽和脂肪酸の摂り過ぎに繋がるので要注意

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卵に含まれるコレステロール自体に摂取目標量がないことは解説しましたが、一方で「飽和脂肪酸」には要注意です。

飽和脂肪酸は卵やバターなどの乳製品のほか、肉の脂身、パーム油などの植物油脂、ソーセージなどの加工肉に多く含まれている成分。

日本人の食事摂取基準(2020年版)では、1日の脂質摂取量(1日に必要なエネルギーの20~30%)のうちの7%以下と目標量が設定されています。

飽和脂肪酸を摂りすぎると、LDLコレステロールが増加します。
LDLコレステロールが増えることで前述のように脂質異常症を招き、心筋梗塞等のリスクが高まってしまいます。

卵は1日何個までOK?

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卵を食べるときに気にすべきはコレステロールよりも飽和脂肪酸。飽和脂肪酸の過剰摂取を考慮し、卵は1日1~2個に留めておくのが理想でしょう。しかし、オムレツなどの卵を1回に3〜4個使用する料理もありますよね。
そういった献立の際は、1週間の中で卵の量を調整してみてくださいね。

また食べ過ぎという観点でもう一つ注意点があります。卵に限らず一つの食材ばかり食べることで足りていない栄養素を補うことが難しくなり、栄養が偏ってしまう可能性もあります。
卵は栄養が豊富なことで知られていますが、卵に足りない栄養にはどんなものがあるのでしょうか?

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