「至高のカルボナーラ」を大西哲也さんが作る

ベーコンを炒めたあと、フライパンをしっかり冷ますのが重要

僕のカルボナーラには、唐辛子を入れるという特徴もあります。濃厚なので、途中で味に飽きてしまうところに、唐辛子の辛味が加わることで、飽きずに最後まで食べられるようになるんです。鷹の爪の種はどちらでもいいですが、入れない方がいいかな。

(鷹の爪を切りながら、真剣に種を避ける大西さん)


少し入っちゃっても大丈夫ですよ。鷹の爪の準備が終わったら、フライパンにオリーブオイル大さじ2杯とにんにくを入れましょう。しゅわしゅわ言わせる感じで。

にんにくを入れてから、火を入れる感じですか?

はい!ここでもう唐辛子も入れちゃいましょっか!

冷たい状態から炒めて、唐辛子とにんにくの風味を出していく。イタリアンの基本を踏襲していますね。僕もこのやり方でやっています。

そうですね。僕も冷たい状態から始めるタイプです。炒めている間に、黒こしょうを刻んでおきましょうか。ホール状の黒こしょうを包丁で刻みます。

ミルを持っていたら、ミルを使った方が良いですか?

いや、ミルよりも包丁で砕いた方がうまいです。ぜんっぜん違うんですよ。びっくりしますよ。


確かに、スパイスの中にある精油成分が、外に出ることによって香りがするものだから、ただ細かくすればいいっていうものではないですよね。ミルだと、潰すというより、細かく切っている感じになるかもしれない。

(フライパンの様子を見ながら)大西さん、ベーコン入れましょうか。


にんにくがしゅわしゅわになってきたところに入れる感じですね。

ベーコンはカリカリになるまで炒めなくても大丈夫です。僕、ベーコンのやわらかさも好きなんですよね。だから、油を出すためだけでなく、具として食べてもいいんじゃないかなと思っていて。(ベーコンの火の通り具合を確認しながら)ベーコンが縮れてきたらOKです。火を止めちゃいましょう。


十分火が通っていますね。

火を止めたら、フライパンを冷まします。ふきんか何かにのせちゃいましょう。

はい!(フライパンをふきんの上にのせる)


ここが、一番重要なんです。フライパンが温かいままだと、卵にすぐ火が入ってしまって失敗してしまうので、ここで完全に冷まします。

カルボナーラの失敗でいちばん多いのが、「卵ぼそぼそ事件」ですもんね。

でも、ここの部分、動画で伝えづらいんですよね。僕の動画では、火を止めて置いたあとにパスタを茹でているんですよ。その順番で作ると、パスタを茹でている間にフライパンがしっかり冷めるんです。

けど、実際に作る時は、効率を考えて、ベーコンを炒めるのと同時にパスタを茹でている人も多いと思うんですね。そうすると、フライパンを冷ます時間を考慮しそびれて、卵に火が入ってしまうんじゃないかと。


ベーコンはむしろ、パスタを茹でるより前に炒めておいてもいいんですかね。

いいですね。全部を混ぜ合わせるタイミングまでに、ベーコンの油が固まらない程度にしっかり冷めていれば大丈夫です。

どうしても、標準化が難しい部分がある

これで、ごく弱火で、卵をあっためるようにしながら絡ませていくのが重要です。どこまでなめらかに仕上げることができるか。この部分だけね、腕が必要なんですよね。

なぜぼそぼそになるかがわかっていないとダメなんだと思います。同じことを繰り返してしまう。伝え方が難しい部分ですね。

あと、この作業にはへらが必須です。箸だとうまくいかないので、絶対ゴムべらを使ってください。下からこそげるように混ぜる感じで……

おっ、パスタのタイマーが鳴ってます。

じゃあ、茹で汁をちょっと残して、あとはざばーっとザルにあけちゃいましょうか。……いいですね!

フライパンを置いて、お湯を軽く切ったパスタを入れていくんですが、まだ火はつけないでください。

ここで、この、卵とチーズを混ぜたカルボナーラの素をたっぷりごってり入れて混ぜてください。


はい!へら、混ぜやすいですね。

(大西さんの様子を見ながら)2人分のパスタの量だったら、ある程度までは、余熱でチーズを溶かせるかもしれませんね。

たしかに。チーズが溶けて、卵も固まってクリーム状になりつつあるような……

でも、今のままだとまだ少し固めなので、ここで茹で汁を大さじ2杯くらい入れましょうか。


クリーミーさを作っていく感じでしょうか。

はい。ここら辺、口でいうのがなかなか難しいですね。もうちょっとドロッとさせたいので、ここからは、ごく弱火で温めていきます。……味見しましょっか。


いい感じですか?

もうちょっと火を入れましょうか。さっきよりも少し強い弱火にして溶かしていく感じです。

ちょっと湯気が出てきましたね。慣れていない人は、都度火を切りながらやってもらうのでもいいのかもしれない。

茹で汁、もうちょっと入れようかな。

様子を見ながら作っていく感じなんですね。チーズがだいぶ溶けてきましたね。


これが全体にまとわりつくと、どっと味が入ってきます。パスタはパッケージに記載されている時間より1分少なめに茹でているから……

麺が水分を吸ってちょうどよくなるんですね。

そうなんです。いいですね。仕上げに香りづけでオリーブオイルをかけます。で、味をみて……(味見する)完璧です!さすが大西さん。これよ!これ!キタ!もうこれ!もう完璧!盛り付けましょう。


パスタの盛り付け方、僕とリュウジさん似ていますよね。丸く高く盛る。

カルボナーラは、この盛り付け方をやったほうがいいですよね。冷めるとうまくなくなっちゃうので。賞味期限10分……もっと極端に言うと3分くらいかも。

盛り付けを手早くやるのも重要ですね。

お皿を温めておくのも大事ですね。

リュウジさんはどうやってお皿を温めていますか?

僕はレンジですね。もっと急いでいるときは、パスタのお湯を流すときに、下に置いておいちゃいます。

それでもいいですね!(盛り付けたカルボナーラを見ながら)クリーミーさが完璧ですね。


これなんです。このクリーミーさが欲しいんです。

あのくらいの火の弱さでいいんですね。やーうまそう!唐辛子の赤色もアクセントになっていいですね。

でここに、ぱらぱらっと黒こしょうを……

粗挽きの粗挽き。ちょっとまばらなのがまたいいですね。

はい!完成です!

すばらしい!!

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