「しつけというのは、夫婦それぞれの育ってきた環境でかなり食い違うことも多いですね。それぞれ、その習慣、しつけの方針が当たり前の環境で育ってきたわけですから、譲れないのもわかります。つまり、しつけの場合、どちらが間違っているということではなく、どちらも正しいので、一概に“こう”!という簡単なものではありません。それを受け入れるか? 受け入れないか? ということなのです」
こういうときには、決して相手を否定してはいけないという。
「しつけの場合、子どものために良かれと思って言っていますし、長年自分が当たり前にやってきたことを“そんなのおかしい!”と否定されたら、誰だって嫌ですよね。こういう場合には、まず相手のしつけを否定してはいけません。まずその意見は聞き入れて、それがわが子にとって必要か? 自分たちの家庭に合っているのか? を夫婦で話し合っていけばいいのです」(高草木さん 以下同)
例えば、子どもの好き嫌いについて、夫婦の意見が分かれたときは…?
「子どもの好き嫌いが許せない夫が、トマト嫌いなお子さんに無理矢理食べさせています。そこまでやらなくても…と思った奥さんは“そこまでしなくてもいいじゃない!”と言い放ちます。そうすると、旦那さんは引くに引けずケンカになる…。だいたいこういうケースが多いです。でも、ここで“そうだね。トマトは栄養いっぱいだから、食べられたらいいよね”と、まず夫に共感します。それから、“なかなか食べられないけど、トマトソースは食べられるから、私も工夫するようにするし、そこからはじめてみない?”など、代替案を出すなどする。こういう話し合いをすれば、夫の態度も変わってくるのです」
また、子どもにしつけを納得させるためには、“パパが言うからする”“ママが言うからする”では、意味がないという。
「しつけは、決して子どもに意地悪を言っているわけではありません。必ず、なぜそれが必要なのか理由があるのです。子どもにもそこをきちんと伝え、本人に“どう思う?”と、考えさせるのもいいでしょう」
しつけの方針で迷ったときは、ある基準を決めておくといいと、高草木さんは話します。
「しつけの場合、“わが子が将来このまま育ったら恥をかく、人に迷惑をかける”ということに関しては、しっかりしつけるべきことと考えればいい、と思います。それ以外のしつけ、習慣については、互いの意見を尊重しつつ、わが子にとって最善の方針を選んでいきましょう」
“食べる前に合掌する““好き嫌いをしない”“お箸をきちんと持つ”などは、できなくてもいいけど、実はできるとその子にとってもプラスが大きいもの。
「お友だちの家に呼ばれたときに、さりげなくこういうことができる子だったら、“きちんとしたご家庭に育ってるのね”と、印象は違いますよね? 子どものためになるしつけなら、お子さんの負担にならない程度に取り入れ、身につけさせてやることも親として大事なことかもしれません」
わが子のためだからこそ、夫婦互いの意見をうまく取り入れて、円満に解決していきたいものですね。
(構成・文/横田裕美子)