「クラミジアや淋菌、マイコプラズマ、梅毒などの細菌性の性感染症の場合は、女性は男性に比べて検査で発見しにくいので、検査よりも、パートナーとともに積極的に治療するべきでしょう」(澤村先生 以下同)
しかし、性器ヘルペスや尖圭コンジローマなどのウイルス性性感染症は、感染者は多いが、発病することはまれ。そのため、パートナーに症状がないのなら、パートナーに必ずしも告知しないほうが無難な場合もあると、先生は言う。
「性感染症は、性行為をしたことのある人なら誰でもかかる可能性があるもの。細菌性の場合は、感染後すぐに発症する一方で、ウイルス性の場合は長期間潜伏していて、わからない場合が多いです。そんななか、免疫力の低下によって突然発症することもあります。そのため、以前付き合っていた相手からうつされたものが今になって発症することもあります。また、夫婦の場合、どちらかが感染すれば『夫婦共有感染』は仕方ないもの。お互いの関係を壊したくないなら『誰かほかの人からもらってきたんじゃないの?』と、犯人捜しはしないほうが良いでしょう」
また、成熟した大人の社会では起こりうると覚悟し、リスク管理と、受容する精神も必要だと言う。
「ダンナさんに性病を打ち明けられた場合、感情的になるのはわかりますが、責めるよりも、まず治療を。そもそも男性はうやむやにするほうがラクですから、打ち明けたのは奥さんへの愛があるからと評価してあげてほしいものです」
●性感染症の被害は女性のほうが大きい
ちなみに、同じ細菌性性感染症が夫婦にあるとき、放置すると、男性よりも女性のほうが体に残る被害が甚大だそう。その理由とは?
「男性は最悪の場合、睾丸が腫れる程度で終わります。しかし、女性の場合は淋菌やクラミジアなどが子宮に入ると、子宮の炎症が起こり、卵管閉塞から不妊症になったり、卵管が狭くなって卵子が通らなくなることから子宮外妊娠が起こったりするのです」
また、膣の奥のほうは腹腔内になるため、卵巣のまわりに膜がはり、重度の排卵痛が起こったり、重篤の場合には腹膜炎や肝周囲炎になっていったりすることすらあるそう。
とはいえ、性感染症はコントロールできる時代。過剰に恐れず、かといって放置せず、できれば夫婦で定期的に検査を受けることがおすすめだ。
(田幸和歌子+ノオト)