甘酸っぱい風味とさわやかな香り、コロンとしたかわいい見た目が人気を集めるいちご。見た目や味わいだけでなく、ビタミンCをはじめ健康や美容に役立つ栄養成分が含まれているのも魅力です。そこで今回はいちごに含まれる栄養素と期待できる効果、さらに栄養を損なわずに食べるコツを管理栄養士が解説します。
いちごに含まれる栄養成分
私たちにとってなじみ深い果物であるいちご。いったいどのような栄養素が含まれているかくわしく解説します。
ビタミンC
いちごに豊富な栄養素といえば「ビタミンC」。その量は100gあたり62mgで、みかん(100gあたりのビタミンC量32mg)のおよそ2倍に相当します。
ビタミンCはコラーゲンを作るのに欠かせない栄養素で、血管や筋肉、肌などを健やかに保つ働きを持ちます。
また近年注目されているのがビタミンCの抗酸化作用。動脈硬化やがんの原因になる活性酸素が体内に増えすぎるのを防ぎ、健康の維持に役立ちます。過剰な活性酸素は細胞を傷つけ、シミやしわなどを作る原因にもなるため、ビタミンCを摂ることでアンチエイジングの効果も期待できます。
アントシアニン
いちごのあざやかな赤色は「アントシアニン」という成分によるものです。アントシアニンはビタミンCと同じように強い抗酸化作用を持つことが知られています。
アントシアニンの人への効果はまだ明らかにはなっていないものの、眼の疲れを和らげたり、視力の回復を助ける働きがあるのではないかと研究が進められています。
※参考:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「「健康食品」の安全性・有効性情報」
ペクチン(水溶性食物繊維)
いちごには水に溶けやすい食物繊維「ペクチン」も多く含まれています。
水溶性食物繊維は便をやわらかくしてくれ、便秘の解消に働きかけます。便秘が続くとストレスを感じるだけでなく肌荒れにつながるケースもあるので、美容のためにも摂っておきたい成分だといえるでしょう。また食物繊維は腸の善玉菌のエサになることから、腸内環境の改善も期待できます。
葉酸
いちごはビタミンの1つである「葉酸」も豊富で、100gあたり90μg含まれます。
葉酸はDNA合成にかかわる栄養素で、赤血球を作るサポート役となることから貧血を防ぐ働きを持ちます。さらに動脈硬化を予防する効果も期待されている栄養素です。
カロリー(エネルギー量)・糖質は控えめ
いちご100gあたりのカロリーは31kcal、糖質の量は7.1gです。果物の中でもカロリーと糖質は控えめな分類です。
いちごの栄養をムダなく摂る食べ方のコツ
いちごは低カロリー・低糖質であることに加え、健康や美容にうれしい栄養素も含まれています。これらの栄養素をできるだけ損なわずに食べるコツをいくつか紹介します。
ヘタをつけたまま洗う
ビタミンCは水に溶けやすい栄養素です。そのためヘタを取ってからいちごを洗うと、より多くのビタミンCが水に流れ出てしまいます。また味わいも水っぽくなってしまうため、いちごはヘタをつけた状態でササッと洗うことがポイントです。
ヘタは手で取り除く
ビタミンCなどの栄養はヘタの真下の部分とその周辺にも含まれます。過剰に廃棄しないためにも、ヘタは包丁で切り落とすより手で取り除くのがおすすめです。ヘタの根元をつまむように持ち、やさしくひねり取るようにしましょう。
※参照:東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 監修,2017年「その調理、9割の栄養捨ててます!」世界文化社
脂質を含む食品と摂る
アントシアニンは脂質を含む食材と摂ると吸収率がアップするといわれています。アントシアニンをしっかり摂りたい場合は、乳脂肪の含まれる牛乳と合わせていちごミルクやスムージーにしたり、練乳をかけて食べるとよいでしょう。ただし練乳はカロリーが高いため、つけすぎには要注意です。
※参照:東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 監修,2017年「その調理、9割の栄養捨ててます!」世界文化社
配信: トクバイニュース