●“18歳までは子どもに寄り添う”が私のポリシー!
――「受験に恋愛は必要ない」「テストのスケジュール管理は母親がする」など、佐藤ママの思い切った発言は、“親の過保護や過干渉を増長する”などと捉えられがちですが、実際に母親である私から見ると、わが子を想うからこそ、愛情あふれんばかりの発言だと理解できました。
「そう言って頂けると本当に嬉しいですね。最近は、塾の講演会などでお話させて頂く機会が増えたのですが、お母様方はみんな優しくて…。もちろんすべてを理解して頂くのは難しいかもしれませんが、“共感しました”というお声も多くいただきます。子どもの性格はそれぞれですし、反対意見があるのは当たり前です。私の子育てから、なにか1つでもお役に立つことがあれば…と、いつもそういう気持ちでいます。志望校を目指すのであれば、その受験に打ち勝つために必要なノルマは変わらない。自分が置かれている環境に不満を言ってはいけないのです。余計なことに使う時間があるならば、ノルマをクリアするために使った方がいい。やるときはやらなければいけない”と伝えたいですね」(佐藤氏 以下同)
――著書を拝読すると、佐藤ママの子育てには、何本かの大きな柱がありますね。
「世間では、私が“勉強!勉強!”と厳しい教育ママのようにうつっているかもしれませんが、基本的には“子どもの楽しい笑顔をいつも見ていたい”、ただそれだけなんです。それに、わが子が18歳を迎えるまで、すべての責任は親にあると思っています。例えば子どもの成績が下がったとき、たいていのお母さんはお子さんのせいにしてしまいがちですよね。でも、その悪い成績を取らせてしまったのは、親である自分のせいだと思うことで、子どもを責める気持ちが一気になくなります。勉強しなかった子どものせいではなく、勉強するように工夫しなかった私の責任なんだと。ですから私は、子どもたちが18歳になるまでは、どんな成績を取っても、責めることはしませんでした。元々小さなことは気にしない方なんです…。私、実はかなりズボラな性格なんですよ(笑)」
――「いち早く自立させるべき」「親の過干渉は子どもをダメにする」と唱える有識者の先生方が多いなか、佐藤ママは、独自の“自立のすすめ”を唱えていらっしゃいますね。
「昔とは時代が違いますし、今の子は、何もかも恵まれている場合が多く、なかなか自分の将来へのモチベーションを具体的に持ちにくいのです。我が家の子どもたちも、大学生になってやっと将来が見えてきた感じです。しっかりと親の愛情を受けて育った子どもは、自然と子どもの方から離れていきます。ですから、親の手元を離れるまでは、思い切り愛情を注ぐべきだし、親が手を貸すことは何ら悪いことだとは思いません。よく“何でも自分でできるようになることが自立だ”と言われますが、私はそうは思いません。本当の意味での自立とは、相手の気持ちを考え、自分が困ったとき、素直に周囲に助けを求められること。周囲と協調しながら、時に自分の気持ちをしっかりと主張して伝えることができる…社会のなかで他人とうまく折り合いをつけて生きていける。これこそが、本当の意味での自立だと考えます。“何でもすべて自分1人でできる!”そんな力は、無人島にでも行かない限り、必要とされませんよね(笑)」
「自立」に関する新鮮な考え方を聞かせてくれた佐藤ママは、生活面、勉強面においても、確固たる“佐藤式”を提唱している。一見誤解されがちな教育論かもしれないが、その根底には、4人の子を育てた“ベテランママ”であるからこその、あふれんばかりの愛情が感じられる。子育て真っ盛りのママであれば、彼女の教えから、きっと学ぶことはあるはずだ。
(取材・文/蓮池由美子)