「子ども部屋は、子どもをどんな風に育てたいか、どんな親子関係を築きたいかといった親の考え方と深く関わっています。親の考え方次第で部屋の使い方が変わり、子どもの精神面での成長にもつながります」
こう話すのは、子どもと住文化研究センター、理事長の北浦かほる先生。
「『子ども部屋=勉強部屋』ではなく、『子ども部屋=子どもの寝室、生活の場』です。子どもの成長は、親から自立していく過程そのものであり、親の目も必要ですが、それと同じくらい、子どもが自分自身と向き合うことができる時間と場所が大切なのです」(北浦先生 以下同)
幼くても、悲しい時や腹が立った時に閉じこもって、冷静になって心を落ち着かせることができる場所が『子ども部屋』ともいえる。
「大切なのは、子どもをひとりの人間として扱うことなのです。立派な部屋がなくても、例えば、押入れがひとつあれば、上と下で2人分の子ども部屋になります」
つまり、壁で仕切られた部屋でなくても親の対応の仕方次第で、子ども部屋は『子どもの寝室、生活の場』という本来の機能を発揮できるのだという。
●部屋にとらわれず、子が自分で考える空間を
北浦先生によれば、子ども部屋=勉強部屋と考える人が多い日本では、子ども部屋の本来の役割が忘れられがちになっているという。
「幼いときには、リビングで勉強を見てやることも親子の良い思い出になります。しかし、最近の『リビング子ども部屋』には、子どもが四六時中親の目に見られ続けているという問題点があります。ひとりの人間として扱うなら、子どもにもコミュニケーションとプライバシーの両面が必要なのです」
親は子どもに対してどのような対応が必要なのだろう?
「部屋のあるなしに関わらず、子どもが何か事情を抱えていたり、自分の感情と向き合ったりしていると感じたときには、気づいていても見ない振りをして、しばらくひとりで考えさせておくことも子どもの成長には大切です」
子ども部屋の考え方が変わると発想も広がる。小さなスペースでも上手に管理できるようになることで、子どももちょっと変わるかも。まずは夫婦で、次は子どもを交えて子ども部屋について考えてみよう。
(川野ヒロミ+ノオト)