ごはんのお供といえば、酸っぱさがクセになる「梅干し」を思い浮かべる方も多いのでは?梅干しは食べておいしいだけでなく、その抗菌効果や、美容・ダイエットにまつわる効果についてもたびたび話題にあがります。梅干しを食べると、本当に身体によい影響があらわれるのでしょうか。そこで今回は、梅干しに期待できる効果と、おすすめの取り入れ方について解説します。
古くから健康によいと評判だった梅干し
梅干しの歴史はとても古く、なんと平安時代には食べられていたそう。その当時は食べ物としてだけでなく、薬としても利用されていました。
実際に日本最古の医学書『医心方』にも梅の効能について記載があります。医心方によれば、梅干しには熱を下げたり、手足の痛みや麻痺を和らげたりする働きがあるとのことです。
※参照:国立国会図書館「第21回 関西館小展示「梅尽くし―和歌から絵画、食卓まで―」」
梅干しの効能は?
古くから健康食のひとつとして人々に愛されてきた梅干し。近年では「美容によい」「ダイエットに効果的」などと、メディアで取り上げられることもあります。本当に梅干しを食べるだけで、このような効果が得られるのでしょうか?くわしく解説していきます。
むくみの解消に!
美容を気にする方にとって、顔や足などに出る「むくみ」は悩みの種ではないでしょうか。そんなむくみの原因のひとつに、体内で過剰になったナトリウムが水分をため込んでしまうことが挙げられます。
そこで役立つのが梅干しに豊富な「カリウム」です。カリウムは過剰なナトリウムを身体の外に排泄しやすくしてくれ、むくみの解消・予防に効果が期待できます。
ただし梅干しは塩分量が多いため、塩分の濃さや食べすぎには注意が必要です。かえってナトリウムを摂りすぎてしまい、むくみが生じるだけでなく、血圧を上げるおそれもあります。食事への取り入れ方のコツを後ほど紹介しますので、あわせて参考にしてみてくださいね。
ミネラルの吸収を助ける
梅干しの酸味の主成分はクエン酸です。クエン酸はカルシウムや鉄など「ミネラル」と結びつき、吸収を促進する効果が期待できます。
たとえば、カルシウムは小魚や乳製品、ほうれん草、モロヘイヤなど、鉄はレバーや豆類小松菜などに多く含まれます。骨粗しょう症や貧血が心配な方はとくに、これらを使った料理を食べるときには、梅干しも一緒に添えてみるのもよいですね。
食中毒の予防に役立つ
梅干しにはクエン酸やリンゴ酸など、有機酸と呼ばれる成分が含まれます。これらの成分には抗菌効果がのぞまれるため、梅干しを使用すると料理が傷みにくくなるといわれています。
しかし「抗菌効果がみられるのは梅干しに触れている部分のみに限られる」という報告も(※)。つまり、ご飯の真ん中に梅干しを置いただけでは、梅干しが触れていない部分の雑菌繁殖を抑えられないため注意しましょう。
梅干しの抗菌作用を最大限に活用するには、つぶした果肉をご飯に混ぜ込むなど、雑菌を増やしたくない部分全体に梅干しが触れるようにする工夫が必要です。
また「梅干しを入れたから、食中毒対策はバッチリ」と過信せず、そのほかの食中毒対策もあわせて行うようにしましょう。
※参照:東京都福祉保健局 食品衛生の窓「調べてみました~ここが知りたい!くらしの食品衛生実験 わさび、梅干、からしの抗菌作用に関する実験」
疲労感を軽減する?
クエン酸はエネルギー代謝をサポートするのに欠かせない栄養素です。また、いくつかの研究では、疲労によって筋肉にたまる「乳酸」を取り除き、疲労感を減らす効果が期待できるとの報告もあります。
一方で、クエン酸の疲労回復効果について「今の時点では、ヒトに対する有効性を検討した研究が十分ではなく、科学的根拠が明らかではない」との報告も。
現段階では「梅干しは疲労回復に効果的」と断言できませんが、今後の研究が期待されるところです。
※参照:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「「健康食品」の安全性・有効性情報 クエン酸」
配信: トクバイニュース