さといもは”茹ですぎ”たらダメ!?主な栄養と調理による変化、おすすめレシピまで【管理栄養士が解説】

さといもは”茹ですぎ”たらダメ!?主な栄養と調理による変化、おすすめレシピまで【管理栄養士が解説】

いも類の中でも、とくに和食との相性が良いさといも。独特なぬめりとなめらかな食感に人気が集まる食材です。そんなさといもには、健康に役立つ栄養素が含まれていることをご存知でしょうか。今回はさといもの知られざる栄養と、栄養を逃がさないおすすめレシピを管理栄養士が解説します。

さといもの魅力的な栄養成分とは?

はじめにさといもの注目すべき栄養素と、カロリーについて解説します。

むくみや高血圧の改善に役立つ「カリウム」が豊富

さといもに豊富な栄養素といえば「カリウム」が挙げられます。実際に100gあたりのカリウムの量を、ほかのいも類(じゃがいも・さつまいも・ながいも)と比べたのが以下の表です。

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さといものカリウムの量は100gあたり640mgと、今回比較したいも類の中でもとりわけ多く含まれます。このように、さといもはカリウムが豊富であることが特徴のひとつです。

カリウムは、高血圧やむくみの原因のひとつであるナトリウム(塩分)を、身体の外へ排泄しやすくしてくれます。
たとえば食事などから塩分を摂りすぎたときには、カリウムを積極的に摂るとよいでしょう。カリウムが体内の過剰な塩分の排泄を促し、血圧が高くなったり、むくみが生じたりするのを防ぐ効果が期待できます。

便通改善などに働く「ガラクタン」と「グルコマンナン」

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さといもには、「ガラクタン」と「グルコマンナン」と呼ばれる食物繊維が含まれています。ガラクタンとグルコマンナンは、どちらも水に溶けやすい「水溶性食物繊維」に分類され、特有の”ぬめり”もこれによるものです。

ガラクタンは、食後血糖値の急上昇やコレステロール値の上昇抑制に役立つ栄養素です。グルコマンナンもガラクタンと同じように、コレステロール値を改善する効果が期待できます。

さらに水溶性食物繊維は腸内で善玉菌を増やす働きも。そのためガラクタンとグルコマンナンを摂ると、整腸作用も期待できると考えられます。

カロリーはいも類の中でも控えめ

「いも類=カロリー(エネルギー)が高い」というイメージはありませんか?ここでさといものカロリーを、ほかのいも類(じゃがいも・さつまいも・ながいも)100gあたりと比較してみましょう。

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さといものカロリーは100gあたり53kcal。いも類の中でもトップクラスのカロリーのさつまいも(100gあたり126kcal)と比べると、さといものカロリーは半分以下です。また、100gあたり64kcalのながいもや、59kcalのじゃがいもと比較しても、カロリーは控えめであるとわかります。

高カロリーなイメージが強いいも類の中でも、さといもはとりわけ低カロリーである点が魅力のひとつです。

※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

水煮・冷凍で、カリウムやカロリーは減る?

生さといも・水煮さといも・冷凍さといもについて、それぞれ100gあたりのカリウムの量とカロリーは以下の通りです。

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さといもは水煮にしてもカロリーはほぼ変化しませんが、カリウムの量は80mgほど減少します。これは水に溶けやすいカリウムが煮る過程で損失したためだと考えられます。

一方で冷凍さといもではカロリーが一気に増えるようにみえますが、これは冷凍加工によってさといも自体の水分量が減少したため。見かけのカロリーが増えているだけであり、実際にさといものカロリーが大幅に変化するわけではありません。

ただし冷凍さといもは下ゆでをしてから冷凍されるため、カリウムがゆで水に流れ出てしまいます。そのため冷凍さといもに含まれるカリウムの量は、生のさといもよりも少なくなると推察されます。

※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

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