「環境の変化に弱い子」ってどんな子!?

第1回 「環境の変化に弱い子」への接し方
春は入園・入学・進級の季節。どんな子でも多少の緊張やストレスはあるものだけど、なかには「環境の変化に非常に弱い子」、それを不安に思っているママもいるよう。

「環境の変化」に対して強さ・弱さが生じるのはなぜなのだろうか。淀屋橋心理療法センター所長の福田俊一先生に聞いた。

「環境の変化への強さ・弱さには、当然ながら個人差があります。調査結果はありませんが、臨床の場面を見る限り、気質や性格などといった、ひとつの“持ち味”と思われます」(福田先生 以下同)

では、「環境に変化に弱い子」というのは、具体的にどんな子?

「一番大きな違いは『慣れる速度』の違いでしょう。例えば、新しい環境にすぐに慣れる子もいれば、1年かかる子もいます。また、小さい頃は平気だったのに、徐々に緊張しやすくなる子も。逆に、思春期を越えて、高校生くらいから変化に強くなる子もいます」

慣れの速度の違いには、人見知りか否か、いじめられた経験の有無などが関わっている場合もあるものの、大部分は“持ち味”と考えたほうが良いそう。

「部屋の片付けをパパッと5分でやる子もいますが、ギリギリまでやらない子もいますよね。そうした個々のペースや行動の速度と、新しい環境に慣れる速度とは近い気がします。ゆっくりしかできない、あるいは『ゆっくりやるのが好き』という子もいるのです」

公園で遊ぶ子どもたち

●環境の変化に慣れるのが遅い子には、別の長所も!

では、「環境の変化に弱い子」に対して、親はどう接してあげれば良いのだろうか。

「まずはそれをひとつの持ち味と考えてあげること。慣れる速度が遅い子には、ひとつのことに集中すると、すごい力を発揮する子もいます。親にとっては、慣れる速度が早いほうが、手がかからず楽でしょうが、どちらにも長所と短所があるのです」

また、短所を変えるようと試してみるのは良いが、実際に変えるのは難しいだけに、長所を伸ばすほうに心を砕いたほうが良いと福田先生は言う。

「新しい環境にすぐに対応できない子は、深く考える性質なのかもしれません。真面目で神経質なのかもしれません。だったら、その真面目さ、細かくこだわる性質を活かし、夢中になれるものを応援してあげると良いでしょう」

親が心配するよりも、本人は自分なりに考え、自分のペースで新しい環境に馴染もうとしているのかも。まずは見守り、話を聞いてあげてみよう。
(田幸和歌子+ノオト)

お話をお聞きした人

福田俊一
福田俊一
淀屋橋心理療法センター 所長
大阪大学医学部卒。大阪大学精神神経科、大阪府立病院神経科勤務を経て、米国フィラデルフィア・チャイルド・ガイダンス・クリニックにて家族療法を学ぶ。83年に開院。
大阪大学医学部卒。大阪大学精神神経科、大阪府立病院神経科勤務を経て、米国フィラデルフィア・チャイルド・ガイダンス・クリニックにて家族療法を学ぶ。83年に開院。