「いい子症候群とは文字通り、子どもが親の思うようないい子であろうとする状態が、固定されてしまっていること。親が喜ぶかどうかで物事を判断するため、顔色ばかり伺っています。すると自分というものがなくなり、空虚感を感じるようになります」(諸富祥彦先生 以下同)
いい子症候群になると自主性を失い、自傷行為を行うなどさまざまな問題行動を起こす可能性があるとか。では、どんな子どもがいい子症候群になりやすいの?
「いい子症候群とは、親の期待に応えないと自分の存在価値を見出せない状態。つまり、子どもの性格によるものではなく、親子関係におもな問題があると考えられます」
いい子症候群は一般的に、第1子がなりやすいといわれている。長男・長女がイメージしやすいが、最近ではひとりっ子が増えたために、いい子症候群が増えているそう。
●親の価値観の押し付けがいい子症候群に
「ひとりっ子は親の期待を一心に受けるために、その影響を受けやすいんです。親が自分の希望を押し付け、そぐわないと子どもに『お前はダメだ』というサインを送り続けていると、子が自分らしくいることができなくなってしまうのです」
子どもをいい子症候群にしてしまう親の反応として、勉強の成績の良し悪しで機嫌が変わる、いつも笑顔でいるべき、といった条件付きの承認をしていることが考えられる。
「ほめる行為も子どもを肯定しているようですが、条件付きでほめているとしたら、それも同様です」
実は、いい子症候群が進んだ状態は虐待にもなる。親の意向に沿えないと自分の存在価値が危ぶまれえるため、子どもは親の悪口を決して言わないのだとか。
子どものためと思ってしている行動が、子の自主性を奪っていることがある。子をいい子症候群にしないためには、親が子ども自身に問題解決をさせ乗り越えさせるなど、子どもの自主性を伸ばすことが大切といえそうだ。
(ノオト+石水典子)