●ブラック企業は定義できる?
「まず、ブラック企業の定義は非常に曖昧です。同じ会社に務めていてもある人にとってはブラック企業で、ある人にとってはそうではない場合が多々あるからです」(下木さん 以下同)
労働時間が長く労働条件が悪くても、仕事に充実感を感じている人にとってはブラック企業という概念が当てはまらない。その逆も然りだ。サービス残業がある、有休が取りづらいなど、労働環境だけに注視すれば、日本の企業は少なからずブラック企業の要素があるともいえる。
「もちろんパワハラや、社風で『NO』が言えず、残業を強いられるなど、悪質な企業は存在します。夫が肉体的、精神的に参っているケースもあるので、そこは妻が状況だけで判断するよりも、普段から夫との会話で情報共有をすることが大切です」
●夫が長時間労働になる原因は仕事だけではない!?
「仕事があるから早く帰れない」という夫を心配する妻は多いが、下木さんによると、必ずしも仕事だけが原因でないケースも多いそう。
「夫の体を気遣いながらも、妻も仕事や育児、家事を抱えていて『早く帰って家事を手伝ってほしい』という態度が出ていたり、夫に対するねぎらいが少なかったりしていませんか? 実は『家の居心地が悪い』ため、夫が『家に帰りたくない』と思うパターンも多いのです」
仕事はいくらでも増やせるし、妻に尋ねられても「仕事が忙しい」と答えて、妻はそれを鵜呑みにしてしまう。
「当社に相談に来る妻は『夫に育児を手伝ってほしいのに帰宅が遅い』『どうしたら早く帰れるようになるか』と自分の都合を優先させる傾向にあります。仕事での頑張りを認めてもらいたい男性は、妻が子どもや家のことだけに重きをおき、自身がないがしろにされていると感じると、帰宅を遅くしてしまうのです」
夫の帰宅が遅いのは果たして過労か、それとも別に原因があるのか。普段の夫婦のコミュニケーションから見極めていく必要がありそうだ。
(ノオト+北東由宇)