●子どもの頃に職業観を育むと将来の選択肢が増える
まず、幼少期には、「仕事をするってどんなことなのか」を家庭生活のなかで学ぶべきと西尾さん。
「私は、ニートやフリーターの支援も行っているのですが、彼らの共通点として『子どもの頃から家庭の中で仕事について話したことがない』ということが挙げられます。昔であれば家業が多かったので、近場でお父さんが働いていたり、お母さんが家の手伝いしていたりするのを目にするなかで、働くということについて子どもなりに思いを巡らすことがあったと思います。しかし、今は家と職場が完全に分離されていますので、働くということを子どもたちが自然に学ぶ機会が少なくなっているんです」(西尾さん、以下同)
子どものうちに仕事についてイメージが持てないと、テレビドラマに出てくるような、警察官や消防士、パイロットといった象徴的な仕事にしか目がいかず、なかなか将来の可能性が広がっていかないこともあるそう。
●“働くこと”や”仕事の仕組み”を親子クイズで理解
現実にどのような仕事があるのかを学ぶためにも、まずは幼少期に世の中の仕事について、親が子どもにクイズを出してゲーム形式で楽しく学ぶことが望ましいと言います。
「おすすめのクイズは2つありまして、『この人は何やっているんだろうゲーム』と『これはドコからやってくるのだろうゲーム』です。たとえば、子どもと一緒に出掛けているときに、時間を5分と決めて子どもに『あの人はどんな仕事をしている人だと思う?』と聞いてみて、子どもの答えを受けて『こんなことをしているんだよ』と教えてあげます。また、『このお菓子ってどこから来たんだと思う?』というようにクイズを出し、じつはお菓子という商品は、製造やデザイン、レシピなど色々な手順があってできているもので、すべての過程において誰かの仕事が関わっていることを伝えます」
これなら普段の親子のコミュニケーションに、ちょっと工夫を加えるだけ。リアルに目にするものを通して仕事とは何かを学ぶきっかけになります。ほかにも、子どもの肩たたき1回につき50円支払うなどもオススメとのこと。人が作った価値に対しては対価が必要であると学ぶことになるようです。
幼少期から働くということを意識すると、世の中の仕組みを理解できます。成長してからも自分はどんな仕事に興味があるかについてもイメージがしやすくなるはずです。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)