『ザ・ノンフィクション』29歳、西船橋キャバクラ嬢の決断「夜の街で輝きたくて… ~闘う女たちの見る夢~」

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。5月22日の放送は「夜の街で輝きたくて… ~闘う女たちの見る夢~」。

あらすじ

 西船橋のキャバクラで働くMelty 輝(メルティー きら)29歳。番組スタッフが取材を始めた2021年6月は緊急事態宣言の真っ只中で、輝の月収は15万円まで落ち込んだという。ほかの事業をと、フランチャイズの歯のホワイトニングサロンを開くも順調とは言えない状況のようだ。

 輝は銚子市で育ち、学生時代はバレーボールに熱中、26歳から始めたキックボクシングは週6でジムに通う熱の入れようで、アマチュア大会への出場経験もある。高校卒業後に地元銚子のスナックで夜の仕事を始め、その後千葉、西船橋へと移る。

 かつては売れっ子だった輝だが、キャバクラでは世代交代も進み、29歳という年齢的な限界も感じている中、「ナイトクイーングランプリ」へエントリーする。これは、スナックやキャバクラなどで働く従業員のコンテストで、容姿だけでなく人としての魅力、個性、生き方も評価されるものだ。

 ナイトクイーングランプリを主催した一般社団法人 日本水商売協会の代表、甲賀香織自身もキャバクラ、クラブでの勤務経験がある元ナイトワーカーだ。夜の仕事はコロナ禍で叩かれやすいと話し、2020年4月、国のコロナ支援から飲食接待業を除外しないでほしいと自民党に直訴していた。

 ナイトクイーングランプリにエントリーしている21歳の胡蝶美蘭は、新宿歌舞伎町の人気店で働くキャバクラ嬢で、10万円超のシャンパンを次々と入れる常連客を多く持つ売れっ子だ。

 美蘭は19歳で結婚、その後離婚し、シングルマザーとして2歳の息子を育てている。息子は出勤前に職場近くの24時間託児所に預け出勤し、シングルマザーであることは隠していないと話す。

 エントリー総数120名から30人に絞られる予選を輝、美蘭ともに通過。決勝では、ほかのナイトワーカーたちがドレスアップした姿で出る中、輝はキックボクシングのウェア、グローブ姿で自己PRを行った。結果、美蘭はローズ部門ルーキークラスでグランプリ、輝は同部門レジェンドクラスの準グランプリを受賞する。

 21年12月、アマチュアキックボクシングの全国大会で輝は優勝。ナイトクイーングランプリの受賞で踏ん切りもついたのか、プロのキックボクサーへ転身を決意し、勤め先のキャバクラでは送別会が行われていた。

『ザ・ノンフィクション』の持ち味、ナイトワーカーものが復活

 『ザ・ノンフィクション』の持ち味の一つに、今回のようなキャバ嬢やホストの「ナイトワーカーもの」がある。ただ、20年春から続くコロナ禍で、それまで恒例だった「ホストもの」はめっきり放送されなくなっている。

 この2年で放送されたナイトワーカーものは、コロナ禍で全く人が来ない状況にあえぐ従業員や経営者、あるいは転職を志す人を追ったものだった。だが、今回は人が街に戻り始めている中の放送で、テーマもコロナ以外が題材とあって、かつての『ザ・ノンフィクション』らしい、実家に帰ったときのような懐かしい安心感があった。

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