ケーキ屋さんが舞台の純白ラブコメ
この作品に出てくる芙美子ちゃんは、少し天然でふわふわした雰囲気のお嬢さん。でも、私自身は、わりとせっかちで、感情や伝えたいことは口にする真逆のタイプです。だから、話すスピード、言葉と言葉の間を意識しながら、ゆっくり時が流れるように演じました。
撮影したのは昨年の夏。演者のみなさんが現場を盛り上げてくださり、和気あいあいとした空気感の中でお芝居をすることができました。真夏に冬のシーンを撮影したので大変ではあったのですが、温かいスタッフのみなさんに救われながら、一緒につくることができた作品だと思います。
映画に登場するケーキ屋さんは、国立市(東京)に実際にあるお店。ケーキもすべて、そのお店の方々がつくってくださいました。その中で、とくに気に入ったのがマスカットのショートケーキです。さっぱりした爽やかな味が、とにかくおいしくて。マスカット好きなことが新たに分かりました(笑)。ミルクレープもおいしかったですね。ミルクレープを食べるシーンでは、崎山つばささんが演じるパティシエさんの長い説明台詞があるのですが、完璧な説明と、そのおいしさが印象に残っています。
暑い日には、お店の方がかき氷を差し入れしてくださったこともありました。普段、甘い物は特別な時にしか食べないのですが、撮影期間中はいつもおいしいスイーツをいただくことができて、幸せな毎日でしたね。
いまだからこそ楽しめる「両片思い」の作品
映画の中で、芙美子ちゃんは1週間頑張った自分へのご褒美として、毎週金曜日に大好きなスイーツを買いに行くんです。私自身は、頻繁にご褒美を買うタイプではないのですが、フランス・パリに1人旅をした時、20歳の誕生日プレゼントにと初めて自分で財布を買いました。白い三つ折りの財布で、3年以上使っています。
傷や汚れが目立ってきているのですが、たくさん思い出が詰まっているので、なかなか替えることができなくて。ただ、今年は年女なので、それを機に新しい財布を買うのもいいかなと思っています。
パティシエさんと芙美子ちゃんは、お互いのことが気になりながらも、なかなか距離が縮まらないんですよね。でもそれは、勇気がないからではなく、相手のことを思いすぎて近づけない、優しい2人だからこそ。そんな中で登場するのが「ポイントカード」です。これも遠回りのようなんですけど、相手のことを思わないとできないこと。パティシエさんの一途な感情が伝わってくるので、ドキドキすると思います。
いまは、人と人がつながることがSNSで簡単にできる時代ですが、その分、深みがなくなっているようにも感じています。また、コロナ禍なので、誰かに会うのが難しい状況だったりしますよね。週に1回好きな人と会って、会話をして、想いをはせていくという、2人の時間軸の中で歩み寄るこの作品は、そんないまだからこそ楽しめるんじゃないかと思います。“両片思い”を描いた作品は新しいですし、人の優しさに気づきたいと思える映画になっています。
配信: たべぷろ