●自分の応援団を作って依存症を予防!
「たくさんお酒を飲む、買い物やゲームばかりしているから依存症であるとは限りません。依存症は、別名“コントロール障害”と呼ばれ、“やめようと思っているのにやめられない”“やめようとするとイライラする、身体が震えるなどの症状がでる”こうした自覚症状が現れることと密接なつながりがあります。“梅干しを見ると唾がでる”そんな体の反応と同じような症状があらわれるのです」(高部氏 以下同)
このような症状に気づいたら、すぐに専門家に相談してほしいと語る高部氏。
「なるべく早く近所の保健所や精神保健福祉センターなどに相談し、専門家を頼ってください。依存症は“進行性の慢性疾患”です。対処が遅れれば遅れるほど、その治療は困難になります。特にアルコール依存症は10年で半分の人が亡くなるほど、致死率の高い疾患です。甘く考えてはいけません」
依存症に陥らないためにも、家族や身近なママ友に自分の弱さをさらけだし、育児や家事、仕事のつらさなどを理解してもらうことが大切だという。
「周囲のサポートは必要不可欠です。あらゆる依存症は“孤独”と関係し、正直に自分の弱みをさらけ出し、支えてくれる人が身近にいれば、依存症になるリスクはグッと減ります。どうか自分の応援団を身近に持ってください。もしも応援団がいなければ、専門家に相談し、自分の応援団を作りましょう」
心のリラックスは、依存症予防にもつながるそう。
「落ち込んだり不安になったりイライラしたりしたときは、瞑想をして気持ちや脳を落ちつけましょう。ヨガや静かな音楽を聴くこともおすすめです。依存症治療の歴史は浅く、専門家と呼ばれる人であっても、無理解な態度を示す人が、残念ながらまだまだ存在します。ですがどうか諦めず、自分に合った専門家を徹底的に探してください。適切なサポートが受けられれば、依存症は恐くないのです」
パチンコ店の駐車場で起こる子どもの熱中症による死亡事故や、依存症になって借金を重ね、不正、横領を働いてしまうなど、事件の背後に“依存症”が隠れている可能性も。まずは“依存症”についての正しい知識を身につけること。早期発見ができれば、悲劇は未然に防ぐことができるのだ。
(取材・文/蓮池由美子)