子どもの死亡事故や横領事件…“依存症”との密接な関係とは?

第3回 急増中!ママの依存症
現代社会で急増しているという“女性の依存症”。「まずはその正体を知り、予防を心がけることが大切」と語るのは、現在、精神保健福祉士として活動を続ける高部知子(元わらべ)氏だ。

●自分の応援団を作って依存症を予防!

「たくさんお酒を飲む、買い物やゲームばかりしているから依存症であるとは限りません。依存症は、別名“コントロール障害”と呼ばれ、“やめようと思っているのにやめられない”“やめようとするとイライラする、身体が震えるなどの症状がでる”こうした自覚症状が現れることと密接なつながりがあります。“梅干しを見ると唾がでる”そんな体の反応と同じような症状があらわれるのです」(高部氏 以下同)

ママの依存症が急増中

このような症状に気づいたら、すぐに専門家に相談してほしいと語る高部氏。

「なるべく早く近所の保健所や精神保健福祉センターなどに相談し、専門家を頼ってください。依存症は“進行性の慢性疾患”です。対処が遅れれば遅れるほど、その治療は困難になります。特にアルコール依存症は10年で半分の人が亡くなるほど、致死率の高い疾患です。甘く考えてはいけません」

依存症に陥らないためにも、家族や身近なママ友に自分の弱さをさらけだし、育児や家事、仕事のつらさなどを理解してもらうことが大切だという。

「周囲のサポートは必要不可欠です。あらゆる依存症は“孤独”と関係し、正直に自分の弱みをさらけ出し、支えてくれる人が身近にいれば、依存症になるリスクはグッと減ります。どうか自分の応援団を身近に持ってください。もしも応援団がいなければ、専門家に相談し、自分の応援団を作りましょう」

心のリラックスは、依存症予防にもつながるそう。

「落ち込んだり不安になったりイライラしたりしたときは、瞑想をして気持ちや脳を落ちつけましょう。ヨガや静かな音楽を聴くこともおすすめです。依存症治療の歴史は浅く、専門家と呼ばれる人であっても、無理解な態度を示す人が、残念ながらまだまだ存在します。ですがどうか諦めず、自分に合った専門家を徹底的に探してください。適切なサポートが受けられれば、依存症は恐くないのです」

パチンコ店の駐車場で起こる子どもの熱中症による死亡事故や、依存症になって借金を重ね、不正、横領を働いてしまうなど、事件の背後に“依存症”が隠れている可能性も。まずは“依存症”についての正しい知識を身につけること。早期発見ができれば、悲劇は未然に防ぐことができるのだ。

(取材・文/蓮池由美子)

お話をうかがった人

精神保健福祉士・高部知子が依存症を語る
高部知子
悠學塾主宰
1967年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒。心の専門家を育てる「悠學塾」主宰。医療法人「京都十全会グループ」顧問。中学生の時にスカウトされ、NHK『ガラスのうさぎ』でデビュー。以後、『積木くずし』や3人ユニット「わらべ」などで活躍。精神保健福祉士、認定心理士、東京都認定薬物専門講師、浄土宗西山深草派教師などの資格をもち、全国で講演や教育セミナーを行っている。
1967年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒。心の専門家を育てる「悠學塾」主宰。医療法人「京都十全会グループ」顧問。中学生の時にスカウトされ、NHK『ガラスのうさぎ』でデビュー。以後、『積木くずし』や3人ユニット「わらべ」などで活躍。精神保健福祉士、認定心理士、東京都認定薬物専門講師、浄土宗西山深草派教師などの資格をもち、全国で講演や教育セミナーを行っている。