診断できてからでも、十分治療できる
ⓒ能一ニェ/ちんねん
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雄大くんの落ち着きのなさや運動が続かない原因は、今回のケースでは発達の遅れではなくバセドウ病によるものでした。平野はこれまでに雄大くんのバセドウ病が見落とされてきたことに葛藤を覚えますが、先輩・神辺は平野の考えに耳を傾けながらも自分の意見を伝えます。
一方、バセドウ病の治療を始めたことで行動に落ち着きが出て、疲れやすさも軽減してきた雄大くんは、学校で友だちができました。ママは雄大くんが学校生活や友だちとの関係を充実させていく様子をとてもうれしく思っていました。
作中にも解説がありますが、小児バセドウ病の診断は難しく、甲状腺の腫れの他にも細かい症状を見極めて総合的に診断する力が必要な病気だということです。
幼いころの雄大くんを自分が診察できていたら、もっと早く雄大くんの病気を見つけられたのでは、と感じる平野の言葉に対して先輩・神辺が答えた言葉は非常に考えさせられます。ぜひ本編で詳細を確認してみてください。
原作者・小児科医 ちんねん先生からのコメント
はじめまして。神辺先生の当直ごはん 原作担当で現役小児科医のちんねんです。
私自身も作中に登場する乳幼児健診を担当する中で、子どもの発達の個人差に驚かされます。9か月で歩き始める子と1歳半で歩き始める子。人生で2倍の時間差がありますが、どちらも正常発達です。正常ですらこれだけ振れ幅がある発達、親御さんがさまざまな不安を感じる機会が多いのも当然だと思います。
育児不安を取り除くこと、それは各自治体がかかげる健診の目的の一つであり、たとえ健診でなくても『育児中に感じた不安』はそれだけで十分な受診理由だと思います。
そしていざ受診、診断となった場合、作中のお母さんがそうだったように、治療までにかかった時間について考えてしまうこともあるでしょう。しかし、子どもの成長は治療によるものだけではないと思います。
例えば、好きなアーティストのライブに行くときワクワクしますよね。新しい職場では人と仲良くなれるか緊張しますよね。子どもはそのワクワクや緊張を世の中すべてに感じながら成長するのが日常です。そのパワーたるや…。
診断が早ければ結果が変わったかどうかは誰にもわかりません。ただ家族が与えていたそんな日常が一番効果的なものであった、それを日々の診療の中で感じることは多いです。
『神辺先生の当直ごはん』第2巻
神辺先生の当直ごはん 2
¥726〜(楽天市場)
ISBN:9784046813718
深夜の急変の多い小児病棟。持ち場を離れることは出来ないが、「1日1食は美味しいものを食べる」という信念のもと、医局で自炊する変わり者の医師がいた!?
子どもの病気には家族の在り方がかかわってくる。発達の遅れ、治る病気と治らない病気――。食を愛する医師が向き合う命の形は…?
医療に詳しくない方でも分かりやすいよう描かれており、作中には美味しそうな『神辺先生の当直ごはん』が何度も登場します。読んでいるうちにおなかが空いてしまうかも?ぜひ読んでみてくださいね。
記事作成: くわっち
(配信元: ママリ)
配信: ママリ
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