土用の丑の日の定番であるうなぎ。スタミナ源として知られていますが、それ以外にどのような栄養があるのでしょうか?またせっかく食べる高価なうなぎの栄養を、効率的に摂るコツも知っておきたいですよね。 今回は、うなぎの栄養や期待される効能、おすすめの食べ方を管理栄養士が解説します。
うなぎがスタミナ源として夏に食べられる理由
うなぎは夏の土用の丑の日の定番とされています。これは土用の丑の日に「う」のつくものや滋養のあるものを食べ、暑さを乗り切るための「食い養生」という習慣によるものです。
うなぎはさまざまな栄養素を豊富に含み、滋養強壮に良いとされています。「う」のつく食べ物の中でもとくにスタミナ源になるため、夏の土用の丑の日に盛んに食べられるのです。
ほかに、スタミナ源となる以外にも健康づくりに役立つさまざまな効能が期待されています。続いて詳しく解説します。
うなぎの栄養と期待される効能
うなぎはとくにビタミンAの含有量が優秀です。ほかの栄養素についても、詳しく効能をご紹介します。
目の健康や粘膜を守る「ビタミンA」
ビタミンAは目や皮膚の健康を保つ役割があり、不足すると夜盲症(暗い場所で見えにくくなる病気)や、免疫機能の低下、粘膜の乾燥から感染症にかかりやすくなるなどの恐れがあります。
ビタミンAはうなぎをはじめ、レバーなどの内臓や、まぐろや卵黄、にんじんやほうれん草などに多く含まれます。グラフを見てみると、うなぎのビタミンAが豊富であることがわかります。
まぐろの約2.9倍、卵黄とにんじんの約3.5倍、ほうれん草の約6.9倍もの含有量です。
ただし、一般的な食生活では不足する危険性は低く、反対に摂りすぎも過剰症を引き起こす場合があります。うなぎに偏らず、いろんな食べ物をまんべんなく取り入れると良いでしょう。
糖質の代謝をサポート「ビタミンB1」
ビタミンB1は糖質の代謝に必要な栄養素です。ご飯やパンなどの主食、糖質を含むお酒ばかりなど偏った食生活では不足する恐れがあり、極端に不足すると倦怠感や食欲不振などを引き起こす脚気という病気の原因となります。
夏は食事が偏りやすかったり、お酒を飲む量が増えたりする方もいるかもしれません。意識してビタミンB1を摂取しましょう。
骨の健康を保つ「カルシウム」
カルシウムは骨の材料となり、骨粗しょう症予防に欠かせません。カルシウムが不足すると、血中カルシウム濃度を維持するために骨のカルシウムが取り出されてしまい、骨がスカスカとなる原因となります。
骨粗しょう症というと、年齢が高めの方が気をつけるイメージがあるかもしれません。ですが骨量は20歳ごろをピークにし、40歳ごろから徐々に減っていくとされています。若いうちからカルシウムを積極的に摂り、予防することが大切です。
カルシウムの吸収を助ける「ビタミンD」
ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるため、カルシウムと同じように骨粗しょう症予防に大切な栄養素です。
ビタミンDは野菜にはほとんど含まれないため、魚介類やきのこから摂取しましょう。
幅広い年代の健康を支える「EPA・DHA」
EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)は、不飽和脂肪酸の一種です。身体で合成できないため、食べ物から摂る必要がある必須脂肪酸でもあります。
動脈硬化や脳卒中予防などの病気予防に役立つほか、妊娠・授乳期に必要とされたり、認知症予防に良い影響を与える可能性もあったりするなど、幅広い年代の健康づくりを支えてくれます。
※参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」,文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
配信: トクバイニュース