●子宮全摘で更年期が早まる可能性は低い
「まず、女性ホルモンは卵巣から分泌されます。ですから、例え子宮を摘出しても、卵巣が残っていて、しっかり機能していれば、ホットフラッシュや動悸などの更年期の症状が出るということは考えにくいですね。子宮を摘出したことによって、卵巣への血流が変化し、卵巣機能が低下する…という考え方も、しっかりとした科学的データはないと思います」(津田氏 以下同)
子宮を失ったことで女性が受ける最大のダメージは、“喪失感”だという。
「喪失感がひどくなると、なかには自分の体に自信が持てなくなったり、女性としての価値を見出せなくなってしまう人もいるようです。いわゆる、精神的なダメージを受けてしまうのです。摘出後の性交渉も、医学的に見ると何ら問題ないはずですが、子宮がなくなることによって性交時の感覚が変わった、と言われる患者さんもおられます。これには個人差がありますね」
もしも全摘手術をする場合は、病院の選び方も重要になるという。
「理想的に言えば、婦人科診療に力を入れていて、婦人科腫瘍専門医が複数いる病院が望ましいでしょう。治療の内容が明確で、しっかりと病理診断ができるところがいいと思います。今は、腹腔鏡手術も保険が効くようになったので、手術する際は、その辺りも調べた上で病院を選べば良いのではないでしょうか」
ネット上では、“子宮”にまつわる様々な都市伝説が語られている。情報に踊らされず、しっかりと専門医に聞いた上で、真偽を確かめることが重要なのだ。
(取材・文/吉富慶子)
お話をうかがった人
津田浩史
平成25年3月に慶應義塾大学病院産婦人科を退職し、同年5月より国分寺で開業。西洋医学と東洋医学を併用し、予防医学的観点からがんなどの早期発見に努めている。「痛みの少ない診察」を目指して診察器具にも配慮。子宮体がん検診に、超音波断層法を導入することで痛みの少ない検診法を提案している。
平成25年3月に慶應義塾大学病院産婦人科を退職し、同年5月より国分寺で開業。西洋医学と東洋医学を併用し、予防医学的観点からがんなどの早期発見に努めている。「痛みの少ない診察」を目指して診察器具にも配慮。子宮体がん検診に、超音波断層法を導入することで痛みの少ない検診法を提案している。