パチンコ屋で盗撮したら逮捕される?盗撮が発覚したときの対処法

パチンコ屋で盗撮したら逮捕される?盗撮が発覚したときの対処法

パチンコ屋の店内で盗撮し、逮捕されるというニュースがたびたび報道されています。

パチンコ屋の男性客が、女性店員のスカートの中や、女性客の胸元などを盗撮するケースが多いようです。

スマートフォンや小型カメラが普及したことに加えて、パチンコ屋には多くの人が集まる上に、客は遊戯に、店員は業務に集中しているため盗撮しやすい状況にあるといえます。

また、パチンコ屋の店内では常に大きな音が発生しているため、カメラの操作音が他の人に聞こえにくく、盗撮行為がばれにくいという状況もあります。

盗撮は犯罪ですので、決して行ってはいけません。

ですが、どのような行為が「盗撮」に該当するのか、その中でも逮捕される可能性が高い盗撮行為はどのようなものかについては、知っておいた方がよいでしょう。

そこで今回は、

  • パチンコ屋での盗撮で問われる法的責任
  • パチンコ屋での盗撮で逮捕される可能性
  • パチンコ屋での盗撮が発覚したときの対処法

などについて、盗撮事件の弁護経験が豊富なベリーベスト法律事務所の弁護士が分かりやすく解説していきます。

この記事が、パチンコ屋で盗撮してしまい逮捕されるのではないかと不安な方のご参考となれば幸いです。

盗撮で逮捕されたときの対応方法ついては以下の関連記事をご覧ください。

1、パチンコ屋で盗撮した場合に問われる法的責任

パチンコ屋で盗撮をした場合は、以下のように刑事責任と民事責任を負う可能性があります。

(1)刑事責任

盗撮行為は、迷惑防止条例違反に該当します。

盗撮の目的でパチンコ屋に入った場合には建造物侵入罪に該当する可能性もあります。

撮影する対象が18歳未満の児童である場合は、児童ポルノ禁止法違反にも該当します。

ですが、パチンコ屋には18歳以上の人しか出入りしていないはずなので、通常は問題となりません。

①迷惑防止条例違反

迷惑防止条例は自治体によって内容が異なりますが、概ね共通しており、盗撮行為を処罰の対象とする旨の規定があります。

東京都の迷惑防止条例(正式名称は「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」)では、次の規定が該当します。

第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。

(中略)

(2)次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。

イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所

ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

(3)前2号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。

引用元:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

女性店員や女性客のスカートの下や胸元などから下着等を撮影した場合は、不特定多数の者が出入りする場所において、人を著しく羞恥させる行為です。

下着等ではなく、顔や全身、後ろ姿などの容姿を撮影したに過ぎない場合でも、公共の場所において卑わいな言動をする行為に該当する可能性があります。

刑罰は、東京都迷惑防止条例では以下のとおりです。

  • 下着等を撮影した場合…1年以下の懲役または100万円以下の罰金(同条例第8条2項1号)
  • 顔や後ろ姿などを撮影した場合…50万円以下の罰金または拘留もしくは科料(同条例第8条4項3号)

②建造物侵入罪

パチンコ屋に盗撮目的で入場することは店長等の管理者が許可していませんので、盗撮のみを目的として入場した場合などには、建造物侵入罪にも問われる可能性があります。

刑罰は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です(刑法第130条)。

迷惑防止条例違反と建造物侵入罪の両方が成立する場合は、重い方の刑罰が科せられます(刑法第54条1項後段)。刑罰の上限は、「3年以下の懲役」です。

(2)民事責任

盗撮行為は、上記のとおり刑事罰で禁止されている行為ですので、民法上の不法行為にも該当します。したがって、被害者に対する慰謝料の支払い義務が発生します。

慰謝料については、何を撮影したのか、同じ被害者に対して何回盗撮したのかなど、事案の内容によって慰謝料の額は大きく異なります。

2、パチンコ屋での盗撮で逮捕される可能性が高いケース

逮捕される可能性があるのは、犯罪が成立しており、犯行を証明できる一応の証拠があるケースです。

パチンコ屋での盗撮の場合、以下のケースでは逮捕される可能性が十分にあると考えられます。

(1)女性のスカート内や胸元などを撮影した

盗撮行為には、

  • 下着等を撮影した場合
  • 顔や後ろ姿などを撮影した場合

があることを先ほど説明しました。

この2つのケースを比較すれば、下着等を撮影した場合の方が逮捕される可能性が高いといえます。

ただし、近年では顔や後ろ姿を撮影したに過ぎない場合でも実際に逮捕され、有罪判決を受けているケースがありますので、「顔や後ろ姿なら大丈夫」と考えることはできません。

(2)防犯カメラに盗撮の状況が記録されている

パチンコ屋の店内は防犯カメラでくまなく監視されていますので、盗撮行為の模様が記録されていれば証拠となります。

店員や他の客に盗撮行為がばれていないと思っても、防犯カメラには捉えられていると考えるべきでしょう。

(3)盗撮した画像がスマホなどに保存されている

犯人のスマホなどに盗撮した画像が保存されていれば、それも証拠となります。

防犯カメラの記録とスマホなどに保存された画像は、どちらか一方だけでも証拠となりますが、両方が揃うと言い逃れはできません。

関連記事: