実際に、女の子を持つママが不安や悩みを抱え、グチをこぼすこともあれば、男の子のママが「ああ、女の子同士は面倒くさそうでヤダヤダ。うちは男の子で良かったわ」といった意味で言うこともある。
でも、ママだって女のはずなのに、なぜ「女同士は面倒くさい」と思うのだろうか。それに、男同士も実は案外ドロドロしている気がするけど、「男同士はさっぱりしている」という思い込みがあるのか。あるいは、同性だからこそわかる面倒くささなのだろうか。
ママたちが口にする「女の子同士は難しい・面倒くさい」の真意について、日本心理教育コンサルティング代表・櫻井勝彦先生に聞いた。
「実は男社会にもいじめはあり、男女どちらも大変ではあります。とはいえ、やっぱり女の子同士のほうが実際に難しい部分はあります。その理由として、まず男女の脳の違いが挙げられます」(櫻井先生 以下同)
●女子同士のいざこざは周りに見えにくい
男女の脳の違いがもたらす「女の子同士のほうが難しい」理由は、コミュニケーションの違いだという。
「男の子に比べ、女の子は話し始める時期も早く、経験則的にも科学的にも言語能力が高いことがわかっています。例えば、語学系学部は女子の割合が非常に高いです。また、話すときに男性は左脳だけを使い、女性が右脳と左脳の両方を使っていることも知られています」
また、脳の中の「感情」を司る部位と「言葉」を司る部位とが、男性の場合は結びつきが弱いのに対し、女性は結びつきが強いそう。
「そのために、女性はよく『生理的に受け付けない』といった言葉を使うように、好き嫌いの感情でわけることが多い傾向もあります。それは感情の部分が表面に出やすいためなのです」
また、男子の場合は、怒りを感じたりケンカをしたりするとき、手が出るなどの暴力行為になりやすく、いざこざがわかりやすいかたちで露呈(ろてい)する。それに対し、コミュニケーション力が高い女子の場合は、表だった争いを避けるため、陰でいじめが起こりやすく、周りが気づきにくいということもあるそう。
親や先生などの知らないところで起こっている可能性のある「女の子同士」の仲間外れやいじめ。わが子に元気がないなどの様子の変化が見られたときは、注意深く様子を観察したいものだ。
(田幸和歌子+ノオト)