3、盗撮の慰謝料を早期に支払うことによるメリットとは?
盗撮の慰謝料を被害者に請求された場合、どのように対処すべきか悩む方も多いでしょう。
盗撮の慰謝料は早期に支払うべきであり、早期対処することにはいくつかのメリットがあります。
盗撮の慰謝料を早期に支払うことによるメリットについてみていきましょう。
(1)刑事事件における「示談」と「慰謝料」の意味
盗撮における慰謝料が関係してくるのは、大きくは、
- 刑事事件上
- 民法上
の二つの手続になります。
刑事事件では起訴処分を回避するために加害者から被害者へ「示談」を持ち掛け、「示談金(慰謝料)」を支払うという流れがあります。
刑事事件における示談とは、示談金を支払う代わりに被害届を取り下げて欲しいという旨を被害者に提案するものです。
示談金には慰謝料や実費(精神的苦痛により通院した場合の通院費用など)が含まれます。
しかし、示談せずに刑事事件を終えてしまえば、民法上の慰謝料の請求が行われることがあります。
刑事事件が終わっても民法上の責任は残っているため、被害者から損害賠償を請求される可能性が残るのです。
そのため、刑事事件中に示談金を支払うことは、民法上の不法行為における「被害者」と「加害者」という関係性を清算するという役割も担います。
不法行為における慰謝料請求の時効は3年になるため、3年間は慰謝料請求される可能性があります。
早期に被害者と加害者という関係性を清算するためにも、示談金(慰謝料)は早めに支払うことが重要です。
(2)示談金(慰謝料)を支払うことによる刑事上のメリット
示談金(慰謝料)を支払うことには、刑事上におけるメリットが2つ挙げられます。
①釈放される可能性が高まる
1つ目は、身柄拘束されていれば釈放される可能性が高まるという点です。
迷惑行為防止条例違反の事件において身柄を長時間拘束されるケースは少ないですが、身柄拘束されているとすれば、被害者と接触して証拠隠滅されることを防ぐという目的であることが多いです。
もし被害者と示談したならば、加害者が被害者に対してこれ以上働きかける必要性がなくなるため身柄拘束する意味がありません。
そのため、釈放されて日常生活に戻ることができる可能性が高まります。
②不起訴もしくは略式起訴の可能性が高まる
2つ目のメリットは、
- 不起訴もしくは
- 略式起訴
の可能性が高まるという点です。
起訴される前に示談が成立して被害届が取り下げれば、不起訴となる可能性が高まります。
不起訴になれば刑事裁判が行われないため、
- 刑事罰を受けること
- 前科がつくこと
を避けられます。
また、不起訴とならない場合でも、示談していることで略式起訴になる可能性が高まります。
略式起訴ならば裁判が簡略化されるため、事件を早期に解決することができます。
盗撮を繰り返し行っている場合であれば起訴は免れない可能性が高いですが、示談金を支払っていることで、判決の際に刑罰を軽減することが期待できます。
刑罰における執行猶予(刑の執行を猶予し一定期間の間刑事事件を起こさずに過ごした場合には刑罰権が消滅するという制度)を狙うことができ、比較的軽い刑罰で済む可能性が高まるでしょう。
4、一括払いは厳しい…盗撮の慰謝料負担を軽くする方法
盗撮の慰謝料の支払いは数十万円になることが多いため、支払いが難しいというケースもあるでしょう。
慰謝料は一括払いが原則になるため、支払いに頭を悩まされる方も多いかもしれません。
少しでも盗撮の慰謝料の負担を軽くするにはどのようにすればいいのでしょうか?
(1)お金を借りる
慰謝料を一括で支払いが難しい場合、お金を借りて慰謝料を支払うという選択肢があります。
家族や親などの親族から承諾を得ることができれば返済を約束し、被害者に一括払いすることができます。
もし家族など親族に相談できない場合には、金融機関から借りることになります。
金融機関へ借りることで被害者に一括払いすることができますが、利息が発生するため慰謝料で支払った金額よりも多くの金額を返済しなければなりません。
分割返済はできますが、返済期間が長引くほど利子によって最終的に支払う金額は大きくなると考えられます。
(2)被害者に分割払い交渉をする
一括払いが難しい場合には、被害者に分割払いを交渉するという手段もあります。
民事裁判の判決で慰謝料が決められた場合には一括払いをしなければなりませんが、裁判の判決外における慰謝料の支払い方法は当事者間で決めることができます。
しかし、一般的に被害者は分割払いを懸念するものです。
なぜならば、分割になれば途中で支払いが滞ってしまう恐れがあるからです。
被害者に分割払いの交渉を行う際には、
- 必ず全額支払うことを約束すること
- 利息も支払うことで総額になれば一括払いよりも多い支払いになること
などを約束することで、分割払いの合意を得られる可能性があります。
また、分割払いが被害者に懸念される理由の1つに、分割払いにすることで加害者との関係性が長期化するということも挙げられます。
被害者としては加害者との関係を早く断ち切りたいと考えることも少なくありません。
この場合には、支払い先を弁護士にするなどして直接の支払いにならないように提案してみましょう。
(3)一括払いに応じるとして減額交渉をする
相手の請求する慰謝料の金額を一括で支払うことが難しい場合には、減額交渉を行いましょう。
経済的に支払いが難しい理由を伝えて、一括払いに応じることを約束することで、相手は減額に応じる可能性があります。
被害者としては
- 加害者と関係が続くこと
- 分割払いで支払いが滞るリスク
よりも、慰謝料の金額が少なくなっても一括払いで終わらせたいと考えるケースもあります。
分割払いで合意を得られない場合には、一括払いに応じるとして減額交渉を行ってみてください。
配信: LEGAL MALL