そもそもなぜ「仲間外れ」が起こるの? 日本心理教育コンサルティング代表・櫻井勝彦先生は次のように言う。
「日ごろ溜まっている鬱憤(うっぷん)を八つ当たりという形やどこかにぶつけたりすることを『スケープゴート』といいます。もし、グループのなかにイライラやストレスが鬱積(うっせき)している人がいると、そうした鬱憤(うっぷん)を発散させるために、誰かをターゲットに設定して攻撃する傾向があるのです」(櫻井先生 以下同)
いじめの原因に関するアンケートでも、実は「腹いせ」という答えが多く、特に何か悪いわけではないのにターゲットにされるケースが多数みられるのだという。
「また、基本的には誰でもターゲットになりうるのですが、なりやすい子もいます。それは、周りと何かしらの部分で異なる子です。特に女の子の場合は、妬みなどが引き金になることがあります」
例えば、かわいい服をいつも着ている、お金持ちだ、男の子と仲が良いなど。逆に、「自分より弱い」「自分より下」とみなす場合にもターゲットになることがあるそう。
「女の子は『私たち、同じだよね』ということを重要視するので、自分より立場や能力、境遇が上であっても、下であっても、仲間外れの対象になりやすいのです」
●防衛ばかりでなく、グラグラしない心の軸を作ること
では、仲間外れのターゲットにされないためには、どうしたら良いのだろうか。
「コミュニケーションが得意でない子が、仲間外れのターゲットにされやすい面はあります。それを防ぐためには家族や周りの人とたくさん話をし、日ごろからコミュニケーション能力を磨いておくことが大切です。その逆に、自慢話や自分の話ばかりすることも妬みの対象や嫌われる原因になりやすいため、日ごろから会話のキャッチボールが出来るよう練習しておくことも理想ではあります」
また、何らかの部分で周囲と異なっていることがターゲットになりやすいことを考えると、「周りの子から大きく外れないように行動する」のは簡単な防衛になりやすいという。
とはいえ、いつも周りに合わせたり、顔色を見たりするのは疲れるし、「自分」を持たない子になってしまわないか不安もある。
「人間関係のなかでは嫌なことを言われたり、されたりするときもあるものです。ですから、『いじめられない』『仲間外れにされない』という防衛を考えるばかりでなく、大切なのは、誰かに何かを言われてもグラグラしない心を育むことです」
日ごろから子どもの良いところを親がしっかりホメてあげ、グラグラしない「心の軸」を作ってあげたいものだ。
(田幸和歌子+ノオト)