●共感性が低いサイコパスとは?
「サイコパスに関しては、遺伝負因が大きいと言えます。ですから一概に、“母親の育て方が悪かった”という一言で解決できる問題ではない。動物をイジメたり、親や友だちを刃物でおどすなど、その症状は重篤で、最初から親の手に負えないケースがほとんどです」(福井氏 以下同)
「うちの子は、カマキリやバッタをつかまえてきては、足をもいだりするけど…この子、本当に大丈夫なのかしら?」少なからず、そんな悩みを持つママもいるのではないだろうか?
「はっきりとしたデータはありませんが、お子様が何を対象にして残虐な一面を見せるか…が重要です。ヘビや虫、カエルに危害を与えるなどは、田舎や昔の子どもだったら、一度は通る道とも言えますし、そんなに心配する必要はありません。その対象が“哺乳類であるかどうか”がカギだと私は考えます。哺乳類に危害を与えることに対し、普通はかわいそうと思うはず。そう思えないのは共感性が低い証拠で、サイコパスの要素があると考えられます」
それでは、“サイコパスが犯罪を犯す可能性”についてはどうなのか。
「サイコパスが犯罪を起こす可能性は、やはり高いと言えます。ただ、性犯罪者のほとんどはサイコパスではないと言われていて、一部では、社会適応がよく、サイコパス的要素を生かして成功する例外もあります」
子どもが先天的に背負ってしまう異常人格。もしもサイコパスだと判明しても、親の向き合い方次第で、子が変容する可能性も…。心配な一面が見られたら、まずは専門家に相談を…。
(取材・文/蓮池由美子)
お話をうかがった人
福井裕輝
京都大学工学部、京都大学医学部卒業。京都大学医学部附属病院精神科、法務省京都医療少年院、厚生労働省国立精神・神経センターなどを経て現職。内閣府性犯罪被害者支援に関する検討委員会委員。大阪府青少年健全育成審議会委員。京都大学医学部精神科非常勤講師。京都大学博士(医学)、精神科専門医、精神科判定医。
京都大学工学部、京都大学医学部卒業。京都大学医学部附属病院精神科、法務省京都医療少年院、厚生労働省国立精神・神経センターなどを経て現職。内閣府性犯罪被害者支援に関する検討委員会委員。大阪府青少年健全育成審議会委員。京都大学医学部精神科非常勤講師。京都大学博士(医学)、精神科専門医、精神科判定医。