ビタミンDシリーズ 第1回「日本人の9割が不足!?『ビタミンD』超入門」

免疫や骨の形成、肌や妊娠期にも重要だといわれる「ビタミンD」。
健康の土台を支えるビタミンDの役割について、大阪公立大学の桒原 晶子教授にお聞きしました!

日本人のほぼ9割が不足!?見過ごされてきた「ビタミンD」

人の健康に幅広い影響を及ぼすビタミンD。昨今注目の栄養素として、気になる方も多いはず。
そんなビタミンDですが、日本人のほとんどが欠乏しているそう。

「研究によると、日本人の約9割がビタミンD不足、または欠乏です」と桒原先生は話します。

以下の表は、ビタミンDの欠乏リスクを簡易的にチェックできるもの。さっそく確認してみましょう!

簡単チェック!ビタミンDの欠乏度は?

【ビタミンD欠乏リスク・簡易チェックリスト】

女性である
40歳未満である
紫外線が少ない時期である
運動はあまりしない
この1年で日焼けをしていない
日光浴を週に一度か、それ以下しか行わない
ビタミンDが多い魚※1
を食べるのは、週に1回以下である

※1 さけ、いわし、さんま、かれい、うなぎなど
(引用改変:Kuwabara A, et al. J Bone Miner Metab 2019 37:854-863, 2019)

上記に当てはまる項目が多いほど、ビタミンDが不足しているかもしれません。
リストを見れば一目瞭然ですが、女性でしかも若年層というだけでリスクが高いことがわかります。

桒原先生によると、若い女性は日光にあたる機会※2
が少なく、日焼け止めクリームを多用することも関係しているそう。男女差については、女性のほうが男性に比べ脂肪が多いという体組成のちがいが女性のビタミンD不足につながっているようです。

それでは、ビタミンDが欠乏すると身体にどのような影響があるのでしょうか?

※2 ビタミンDは日光浴によって、体内で生成することができる。

老若男女に影響!不足すると起こりやすい症状とは?ビタミンDと健康の関係

ビタミンDが欠乏するとさまざまな病気につながる可能性があります。

「ビタミンDで一番有名なのは、骨への影響。ビタミンDは、腸管からカルシウムやリンの吸収を促進し、血液中のカルシウム濃度を適切に保つ役割があるんですが、実はこれは生命を維持する上でとても大切なんです」と桒原先生。

ビタミンDが極度に足りない状態が続くと、カルシウムやリンによる骨の石灰化が進まず、骨の変形を伴う「くる病」につながることも。

また、ビタミンDの欠乏とまでいかなくとも、骨粗鬆症のリスクが上がります。

守備範囲が広い!全身の健康に影響をおよぼすビタミンD

そのほかにも、さまざまな生活習慣病や感染症、さらには筋肉にも作用するためフレイルとも関係が深く、ビタミンDは健康の土台となる栄養素といっても過言ではありません。

ビタミンDはインスリンの分泌を促すので、生活習慣病のなかでは、糖尿病予防に効果があるといわれています。さらに血圧を下げ、コレステロールや中性脂肪を抑えることから、動脈硬化の予防にも一役買っているそう。

「日々の健康や将来の重大な病気を防ぐために、ビタミンDは大きな役目を担っているのです」と桒原先生。

関連記事: