管理栄養士のともゆみです。「適宜」という言葉をご存じですか? ちなみに「てきぎ」と読みます。レシピに出てくる用語なんですが、調味料などを「入れる量」について使われます。具体的にどのくらいの量を入れたらいいのか、意外にきちんと答えられないですよね。先日、こんなレシピ用語の微妙な表現について、テレビ番組『バゲット』でも取り上げていたので、詳しく解説していきますね♪
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「適宜」と「適量」の違い
どちらも「自分の好みで加減して入れる、ちょうどよい量」という意味になります。
でも、この説明ではやっぱりよく分からない。
で、さらに掘り下げてみると、以下のような違いがありました。
適宜とは…自分の好みで、入れても入れなくてもいい
適量とは…自分の好みの量でいいが、必ず入れる
「適量」は入れることを前提として、お好みの量を入れるという意味になります。
対して「適宜」は、「不要であれば入れなくてもいい」という意味。
「適宜」も「適量」も同じようなものと思っていましたが、実は大きな違いがあるんですね。
では実際の料理のシーンに沿って「適宜」と「適量」について解説していきますね。
「適宜」とは…?
たとえばスープのレシピなどで、「味をみて、塩、こしょうで味を調える」などと書いてあることがあります。この場合は、「味をみて、薄いと感じたら、塩、こしょうで味を調えてください。ちょうどいいと感じたら入れなくても構いません」ということ。そのため、材料のところには、「塩・こしょう 各適宜」と書かれていたりします。
また、七味などの香辛料や青じそなどの薬味にも、使われることが多いです。これらは人によって好みが分かれるため、「適宜」がよく使われます。「好きじゃなかったら入れなくてもいいです」という意味になります。
こちらの写真は「卵スープにラー油を適宜」…大人は入れて子どもには入れなかったです。
その他、ミニトマトやパセリなどの付け合わせに使われる場合も。これらは「料理の彩りとして使っているので、おうちになければわざわざ買ってこなくてもいいですよ」という解釈になります。
こちらは「肉巻きの料理に付け合わせとしてパセリとトマトを適宜」…たまたま冷蔵庫にあったので使いました。
「適量」とは…?
「適量」という言葉を使う場合、肉や魚の下味としての塩を「適量」まぶすというのがよくあります。「自分の好みでいい量」とはいえ、どのくらい使うのがいいのでしょう。食材に対して塩は0.9%、お肉の重さが100gであれば塩の量は0.9gがちょうどいい量になります。
豚バラ薄切り肉100gに対して下味用に塩を適量(0.9g)振っているところ↓
味付けに関しての調味料の「適量」は、まさに自分の好みでOKです。はじめは少なめに入れて、味見をしながら少しずつ好みの味になるまで入れていくと失敗を防ぐことができますね。
グラタンに使うチーズの量、のり、ゴマ、かつお節なども「適量」が使われることが多い食材です。この場合の意味としては、入れなくていい「適宜」と違い、「必ず入れてください、量はお好きなように」となります。
グラタンにチーズを適量かけているところ↓
レシピによって、「適宜」や「適量」と書かれていても、塩やしょうゆなど塩分の入れすぎには注意してください。
厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」では塩分摂取量を減らすように促しています。目安となる量は、成人男性なら1日で、7.5g未満、成人女性なら6.5g未満としています。数字で見てもピンとこないかもしれませんが、ラーメン1杯の塩分は8g前後なので、実はかなり低い数字。それだけ、日本人は塩分を多くとりがちな食生活をしているのです。健康維持のためにも、香辛料や薬味などを利用して、塩分が少なくてもおいしく食べられる工夫をしたいものです。
今回は意外と分かっていない「適宜」と「適量」について紹介しました。
意味をしっかり理解しておくと、味付けに迷わず、よりおいしく作れそうです。
ぜひ知っておいてくださいね。
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配信: あたらしい日日
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