実録・子どもの被害妄想!息子はこうして不登校になった

第1回 増える「子どもの被害妄想」とは?
親の過干渉や放置…実は親子関係が密接に関係していると言われる“子どもの被害妄想”。そこで今回、1人息子(小6)の被害妄想に悩むAさんを取材。子どもの被害妄想の実情をお届けする。

●「教室に入ると自分の悪口が聞こえてくる…」

現在、小学6年生になる1人息子・Oくんを持つ48歳の母・Aさん。不妊治療の末、待ちに待った待望の長男が生まれ、Aさんと夫はとにかく喜んだという。

「ものすごく溺愛して育てました。欲しいものは何でも買い与えましたし、これまで、あまり怒らずに育ててしまったように思います。小学校中学年までは学校にも楽しく通っていましたが、5年でクラス替えをし、進学塾に通い始めてから、何となく変わってきたように思います」(Aさん 以下同)

Oくんは、次第に学校で、弱い子に暴言を浴びせたり、その子の物を隠したりと、陰湿ないじめをするようになった。

「学校から頻繁に電話がかかってくるようになりました。でも、問題が起きて事実を確かめようと本人に確認すると、“そんなこと絶対にしていない”と言う。当初の私と主人は、先生から何を言われても、息子が“やってない”と言うのであれば、親として信じたいという気持ちがありました。わが子に限って…そんな思いもありました」

そんななか、保護者会に出かけたAさんだったが…。

「私が学校に行くと、何となくクラスのママたちの反応が前とは違うんですね。話しかけても、みんなどこかよそよそしい。どうやら、息子のいじめがママたちに知られ、被害者のお友だちに謝りに行かなかったことが原因で、私も非難されていたようです。この時やっと、“息子はやっぱりいじめをしたのかもしれない”と思いました。主人と息子を追求したところ、泣きながらやっと事実を認めたので、すぐにいじめてしまった子のところへ謝りに行きました」

Oくんは、この事件を機に、学校に行くのを嫌がるようになったという。

「朝になると、“頭が痛い”と言うんですね。熱はないけどベッドから起き上がってこられない。私も無理をさせてはかわいそうと思ったので、そういう日は学校を休ませていました。次第に3、4日と行かない日が増えていく。“なぜ学校に行くのが嫌なの?”と聞いたところ、“教室に入ろうとすると、みんなが僕の悪口をヒソヒソ言ってるのが聞こえてくる…”と言うのです。息子の不登校について担任の先生に相談してみたところ、“それはOくんの勘違いじゃないですか?”と一蹴されました」

増える子どもの被害妄想

ついにOくんは、誰かに迎えにきてもらわないと学校に行けなくなってしまった。

「息子が言っていることが、本当に被害妄想なのか事実なのかは私たちにもわかりません。先生も実態を調べてくれないので…。ただ、親子で外出する際も、異常なくらい人目を気にするし、同年代の子が笑っているのを見て“自分が笑われているのではないか”と怯えることもあるので、一度カウンセリングに連れて行こうと思っています。元々は気が小さい子なのに、なぜそのようないじめをしてまったのか…理由はまだわかりませんが、今思うと、本人が望まないにも関わらず、塾通いで忙しくさせてしまったこと、主人が息子のテストの点数に非常に厳しかったことでストレスを抱えていたのが、いじめにつながってしまったのではないかと反省しています。このまま、息子の心が壊れてしまわないか心配です」

このような症状は、特に思春期に見られやすいという。カウンセラーの指導で、Oくんの心が一刻も早く回復することを願うばかりだ。

(取材・文/吉富慶子)