●始める理由とハマる理由が違う青少年の薬物依存
「日本の12歳~15歳の男女に隔年で調査した結果、シンナー、大麻、覚せい剤、危険ドラッグいずれかの経験がある、と答えたのは、1.0%。100人に1人の割合です。自己申告なので、実際はもっと多い可能性もあります。よく中学校の先生が『うちは田舎ですから〜』とノンキなことを言われますが、地域差はありません。どこに住んでいても起こり得ます」(嶋根氏 以下同)
都会の子の方が薬物を手に入れやすい印象だが、実際にはそうではないようだ。では、子どもたちはどこで薬物を手に入れているのか?
「“友だちからもらった”と答える子が圧倒的に多いですね。好奇心もありますが、“みんなが使っているから使う”“仲間外れにされたくないから使う”と理由をつける子が多い。ここで重要なのは、始める理由とハマる理由は違うということ。1回やったことがある子どもでも、薬物より面白いこと、例えば、部活や遊びがあれば、ハマることはありません。ですが、シラフでいられないくらい“しんどいこと”がある子どもは、生きるために続けてしまうのです」
●タバコが入り口となりやすい薬物依存
「ちょっと前に話題になった危険ドラッグは、’14年の法改正によって入手しづらくなったので減少しています。シンナーはホームセンターなどで入手出来るため、中高生の経験者は多いのですが、昔のように不良っぽい子どもがやるとは限りません。見た目は全く普通の子どもがやっていることが多いですね。また未成年者の覚せい剤事犯の男女比は、女性が67.4%を占めていますので、男女も関係ありません」
現在は、シンナー乱用が流行らなくなり、全体的に薬物乱用は減少しているという。だが、タバコから大麻、覚せい剤をあぶるという道筋をたどる青少年は多いようだ。
「タバコを吸ったことがない子どもに大麻を渡すとむせてしまい、『ヤバい!』とブレーキがかかります。しかし、一旦煙を吸うことに慣れてしまうと、大麻、シンナー、覚せい剤へと進んでいきます」
薬物乱用と喫煙を切り離して考えがちだが、母親としては、タバコが発覚した段階で、薬物と繋がることを意識したい。もしも喫煙を目撃したら、十分に子どもと話し合って止めるべきなのだ。
(取材・文/谷亜ヒロコ)