●薬物依存になる子どもの典型的な例
薬物をやっている子どもの進み方としては、中1でタバコ、中2でお酒、中3でシンナー、10代後半で大麻、20代で覚せい剤となるのが薬物依存の典型的な例だという。ここで注意したいのは、出発点はタバコだということ。そして、子どもが付き合っている交遊関係だ。だが、親が携帯を見たり、監視したりするのは中高生では難しい話。親子が険悪な関係になることもある。であれば、どんなことに注意すればいいのだろうか。
●薬物依存早期発見!5つのサイン
「薬物乱用をしていると嘘をつくようになります。これは子どもの性格ではなく、薬物依存症がもたらしている症状です」と語る嶋根氏。子どもたちは、嘘はもちろん、様々なサインを出しているという。ここでは、親が気をつけたい子のサインを紹介する。
【気をつけたい5つのサイン】
● お金をなくしたという
● 嘘の理由をつけて約束を守らない
● 親の財布からお金を盗む
● 生活が不規則
● 暴力を振るう
もちろん全部が薬物に結びつくわけではないが、薬物を手に入れるため、嘘をついてお金を得ようとするそう。また、昼夜が逆転する生活も、薬物と結びつきやすいと言う。
「暴力を振るうケースは男子に多いですが、女子の場合、内側への暴力として過食や拒食など食行動の異常、リストカットなどの自傷行為に走る場合もあります」(嶋根氏 以下同)
こういう行動をとる子どもには、「親に相談できない」「家族との夕食頻度が低い」など、大人不在で過ごす時間が長いというデータもある。
「夕食を一緒に食べれば自然と話もできますから、どんな友だちと遊んでいるかも見えてきます。今は見た目では、薬物をやっているかどうか分かりません。友だち関係を監視することは出来なくても、毎日子どもを見て話してチェックしてあげてください」
薬物乱用を始める子どもたちの“初期サイン”に気づくことができれば、早期対策にもつながる。幼少期はもちろんのこと、思春期や反抗期を迎えた時こそ、家庭での親子交流や夕食の時間が大切なのだ。
(取材・文/谷亜ヒロコ)